「ドロップバック」

「ステップワーク」

と、

 

「パスプレーにかかわるQBのお仕事」

が続きましたので、そろそろ

 

「ランプレーにかかわるQBのお仕事」

として、

 

「ハンドオフ」

について書いてみたいと思います。

 

ちなみに、僕は

「ランニングバック上がりのQB」

ですので、

 

「ランプレー」

には並々ならぬ思いがあります!!

 

RB経験者として、

 

「どんなハンドオフが気持ちいいか!!」

というのを身をもって経験してますし、

 

「いいQBはどんなハンドオフをするか」

身をもって学んでいます!!

 

今のこの時点で、文章が長くなるのが見えています!!!

二部構成にしますね。

 

第一部は、

「ハンドオフの技術」について

 

第二部は、

「実践の中でのハンドオフ」について

 

書いてみたいと思います!!

 

では、いきましょう!!

 

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まずは第一部

「ハンドオフの技術」

です。

センターからスナップを受けたQBが

ランニングバック(以下RB)にボールを渡す手段は

主に3通りあります。

 

・ハンドオフ

・トス

・ピッチ

 

トスとピッチは僕の中では意外と定義があやふやな感じで、

どちらも

 

「下から投げて渡す手段」

です。

 

 

「ハンドオフ」は、日本語にすれば

 

「手渡し」

ですね。

 

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「手渡し」

とは言っても、必ずしも

 

「手から手へ」

渡すわけではなく、

 

「QBの手からRBのおなかへ」

ボールをのせてあげる、置いてあげる感じです。

 

イメージ、こんな感じですね。

 

 

この画像は、

 

QBがRBに

 

「今まさにボールを渡そうとしている」

ところです。

 

上では

「おなかくらい」

と書きましたが、

QBが持ったボールはRBの胸からみぞおち

くらいの高さにありますね。


説明を楽にするためにこの高さを

「おなかくらい」

ということにします😁


QBの右側を走りぬけようとしているRBは

 

「左腕が上、右腕が下」

の形で突進し、QBがRBの左側からボールをおなかに押し込んでくれるのを待ちます。

 

RBは、

 

QBの右側を走り抜けるときは

「左腕が上、右腕が下」

 

QBの左側を走り抜けるときは

「右腕が上、左腕が下」

にします。

 

こうすることで、QBがみぞおちにボールを入れやすくなります。

 

もし、腕が逆だったら、QB側から見て

 

「RBの上腕が邪魔をして」

ハンドオフがやりにくくなります。

 

些細なことのようですが、これは非常に大切な

動きです。

 

 

QBがボールを

「みぞおちに置いてくれたら」

 

「上下の腕でボールを挟んで」

大事に、しっかりとボールを保持します。

このとき、

 

「左手はボールの右端」

「右手はボールの左端」

を持つようにして、とにかく

 

「ボールをしっかりと持つ」

ことで、ディフェンスのタックルに備えます。

 

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上手いQBのハンドオフは

 

「何かが軽く当たったな!」

と思ったらボールがあります!

 

逆に下手なQBのハンドオフは

まるでボクシングの

 

「ボディーブロー」

を喰らったようにボールが

 

「ドスンッ」

と入ってきて、おなかに鈍い痛みが走る感じです。

 

この違いって何なんでしょう?

 

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QBの右側を走り抜けるランプレーのとき、

 

QBはスナップを受けたあと、右脚を一歩引きながら

体を右に開き、

 

両手で大事に持ったボールを後ろに動かしながら

RBのおなかに収めていきます。

 

RBはQBの右側を

 

「決められた進入角度で」

「左腕が上、右腕が下」

で走りこむのですが、

 

「QBの手は後ろに動く」

「RBは前に動く」

と、

 

「反対方向に動く二つの物体」

のボールの手渡しですので、

 

「タイミングとスピードが合う・合わない」

 

「気がついたら入っていた!」

になるか、

 

「ズドンッ」

とボディーブローを喰らうか

 

に分かれます。

 

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僕がQBをやる上でハンドオフで注意しているのは、

 

「ボールを持った手・手の甲に感じる圧」

です。

 

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ボールをRBのおなかに押し込むとき、

 

例えば、先ほどからの例で言うと、

右側を走りぬけようとするRBにハンドオフするとき、

 

両手でRBのおなかに押し込む場合、

 

「右手の甲」がRBのおなかに当たります。

 

スナップを受け取った直後、ボールを持った手を後ろの方向に、

RBのおなか目指して動かすのですが、右の手の甲が

 

「RBのおなかに触れた瞬間」

からボールを持った手を

 

「前の方向に、RBと同じスピードで」

動かしていきます。

 

RBも走るにつれて加速しますから

それにあわせるのですが、その加速感を感じるのは

僕の場合、

 

「手の甲にかかる圧」

です。

 

片手でハンドオフする場合、ボールが直接RBのおなかに

触れていますので、RBからの圧を感じるのは

 

「ボールを通した左の手のひら」

になります。

 

とにかく、僕にとっては

「圧を感じること」

が非常に大切です。

 

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実は以前12年ほど、カナダでスキーの仕事をしていました。

 

一般の人を教えたり、

レーサーを教えたり、

インストラクターを教えたり。

 

得意は

「こぶとパウダー」

でした!!

 

スキーで大切なのは

 

「雪面コンタクト」

です。

 

「スキーの板と雪面の会話」

を感じ取るのが非常に大切です。

 

この

「スキーの板と雪面の会話」

「雪面の圧を感じること」

で可能となります。

 

こぶ斜面をすべるとき、

 

こぶに当たって突き上げられるときは

脚をまげて圧を吸収、

 

こぶを超えていくときは

脚を伸ばして圧を自分から足していってあげることで

 

「雪面コンタクトを保つ」

のですが、

ハンドオフはその感じに似る気がします。

 

※スキーはスキーでマニアックにブログかけそうです。

リクエストがあればお声かけください!!

シーズン前の9月くらいから書き始めます(笑)

 

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手に圧を感じながら、ほんの短い時間ですけど、

 

「QBが手に持ったままのボールがRBのおなかに乗せられている状態」

があります。これを

 

「ライド(Ride)」

と言います。

「乗せる」と言う意味ですからそのままですね。

 

プレーの種類にもよりますが、

「ライド」

は距離にして1ヤードから1.5ヤードくらいやるときもありますし、

ほんのちょっとのときもあります。

 

QBには

「ライドの最中にやる仕事」

があります。

 

先ほど紹介した画像の

 

「QBの目線」

に注目していただきたいのですが、

QBの目線はRBのおなかではなく、

 

「どこか遠く(?)」

を見ていますね。

 

実はこのときQBは

 

「ディフェンスの動き」

を見ています。

 

ディフェンスの動きが、

事前のスカウティング(相手チームの情報収集&分析)通りか

を見たり、

 

ディフェンスの動きに何か違和感を感じたときに確認する意味でも

 

「ライドしながらディフェンスを見る」

仕事をします。

 

また、ランプレーのフェイクからパスを投げるときにも

 

「ライドしながらディフェンスを見る」

仕事をします。

 

ライドしながら

ディフェンス見ながら

レシーバー見ながら

 

とやることがいっぱいあります。


QBだけでなく、RBも


「どこか遠く(?)」

を見ていますね(笑)


RBは、QBがハンドオフしてくれる

ボールではなく、


「走るべきルート」

を探るためにディフェンスを見ています。


QBはRBを見ていません。

RBもQBを見ていません。


普段の練習で


「阿吽の呼吸」

「以心伝心」


でお互いを信頼して


「ハンドオフ」

が成り立っています。


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さて、ここから第二部の

「実践の中でのハンドオフ」

ですが、僕がランプレーで気をつけていることがいくつかあります。

 

・どのRBがボールを持つか

・RBの進入角度

・RBの進入のタイミング

・RBの進入速度

 

これを説明するために、僕が学生時代から大好きで

多用する

 

「I Formation(アイ フォーメーション)」

という攻撃体型を紹介しますね。

 

※画像はウィキペディアより

 

赤いまるで示されているのがオフェンスで、

センターの後ろにQB、

QBの3ヤードくらい後ろにFB(フルバック)

FBの3ヤードくらい後ろにHB(ハーフバック)

がいます。

 

僕のチームではHBのことをTB(テイルバック)

呼んでいましたのでTBで話を進めていきますね。

 

QB、FB、TBが縦一列に並び、アルファベットの

「I (アイ)」

に似ていることからこの攻撃体型のことを

「アイ フォーメーション」

と呼んでいます。

 

FB、TBはそれぞれ特徴があり、

 

FBは比較的力の強い選手が多く、

「短い距離を縦に縦に力で切り込んでいく感じ」

のRBです。

 

TBは走るのが速く俊敏性の高い選手が多く、

「ディフェンスを技で交わしながら進んでいく感じ」

のRBです。

 

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ここでオフェンスの基本中の基本、

QBが一番最初に習うランプレー

 

「ダイブ」

について説明しますね。

 

QBのすぐ後ろにいるFBが突進して

スクリメージラインに

「飛び込む=ダイブする」

プレーのことです。

 

通常はラインマンのセンターとガードの間を走り抜けていきます。(オフェンス体型の画像を参照して頂くとわかりやすいと思います)

FBはボールを持って自分ひとりで飛び込んでいきますので

 

「瞬発力とパワー」

が必要とされるプレーです。

 

このプレーのとき、

QBは上記したとおり、

 

「ボールを両手で持ってRBのおなかに乗せて」

あげます。

 

 

この画像がまさの

「ダイブ」

です。

 

QBの3ヤード後方にいるFBが猛ダッシュしてきますので

あっという間にハンドオフが終わります。

 

「基本中の基本のプレー」

ですが、この「ダイブ」でのハンドオフ、簡単そうでいて、

綺麗に決めようと思うとなかなか難しいです。

 

何せ、短時間のうちに、猛ダッシュしてくるFBにハンドオフ

するわけですから、

 

「センターとのボールエクスチェンジが狂った」

「エクスチェンジ後、ボールを持ち直した」

「腕を後ろに伸ばすタイミングが遅れた」

とか、些細なミスでプレーのタイミングが全部狂い、失敗してしまうプレーです。

 

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続いて、基本の二番目に出てくるランプレー

 

「ブラスト」

です。

 

今度はTBにボールをハンドオフするランプレーです。

このプレーもダイブ同様、センターとガードの間を走り抜けます。

 

このプレーでは、TBはFBの後ろを走ります。

ボールを持たないFBは

「ブロッカー」

として、迫ってくるディフェンスの選手をブロックしTBが前に進むのを手助けしてくれます。


一人で飛び込むダイブと比べ、ブラストはFBのブロックがある

 

「パワープレー」

です。

 

TBはQBの位置から見て6ヤードくらい後ろにいますので、

ハンドオフまでのタイミングが遅くなります。

 

右へのブラストの場合、

QBは一度左足を引いて反時計回りにまわり、

走ってきたTBにハンドオフします。

 

「反時計回りに回る」

理由は大きく3つあると思います。

 

ひとつめは、

「遠いところに位置するTBが近づいてくるまでの時間調整のため」

ふたつめは、

「スクリメージラインから少しでも離れたところでハンドオフするため」

みっつめは

「TBの前を走るFBと交錯しないため」

です。

 

ブラストはダイブに比べTBへのハンドオフまでに時間がかかります。

時間がかかると言うことは、

 

「ディフェンスが迫ってきている可能性」

が高くなっているので、リスク回避のためQBは

 

「スクリメージラインから少しでも離れたところで」

ハンドオフしたいわけです。

 

 

右ダイブと同じように、反時計回りではなく、

 

「右足を引いて、ドロップバックするように下がって」

TBにハンドオフしてもいいのですが、

 

QBはドロップバックで加速状態

TBも6ヤード後方から加速状態

ではなかなかハンドオフが難しくなります。

 

また、QBのドロップバックとFBの走るコースが

交錯する可能性も高くなりますので、

ここでもリスク回避のため、

 

右ブラストは

「QBは反時計回りのステップを踏むことで

位置を変えつつ、スクリメージラインから

少し下がったところでTBにハンドオフ」

することを選んでいます。

 

パスプレーと比べて

 

「堅実」

と言われるランプレーの

「ハンドオフ」

も結構気をつけること、多いです。

 

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ちなみに、

センターとガードの間(ギャップ)のことを

「Aギャップ」

と呼んだりします。

 

ついでに言うと、

ガードとタックルの間を

「Bギャップ」

 

タックルとエンドの間を

「Cギャップ」

と呼びます。

 

ディフェンスの体型によって、通常Aギャップを走るダイブやブラストを

ハドル(作戦会議の円陣)の中で

 

「右ダイブをBギャップに!」

と変更したりします。

 

同じ右ダイブでも、

AギャップをBギャップに変更すると、

 

FBの進入角度が変わり、

一歩目を踏み出す方向が変わり、

踏み出すスピードが変わり、

タイミングが変わり、

ハンドオフの位置が変わり、


と、ちょっと変えただけでいろいろ

変わります。


QB、結構疲れまんねん!!

 

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いざ書き始めると、自分が思っていた以上に

「ハンドオフ」

は奥が深いですね。

 

「RBのおなかに優しいハンドオフ」

これからも頑張ります!!

 

今回はこの辺で。ありがとうございました。

 

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次回は

 

「QBのスローイング リリースのときの腕の伸び」

について考えてみたいと思います。

 

意外と腕が曲がった、縮んだまま投げていること、多かったりします。


「なぜ曲がったまま?どうすれば伸ばせる?」

その辺を考えてみたいと思います。