Mac OS Finderの表示順Tips | Thinking every day, every night

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夢想家"上智まさはる"が人生のさまざまについてうわごとのように語る

Mac OSの非常に基本的な機能でありながら、その仕様について案外知られていなくて、「でもいまさら聞けないよ」と、日頃から皆が困っている機能が結構あるものです。

そんな機能のひとつに、Finder上での表示順があります。

 

私自身、以前どうしても思うようにソートできなくて、ネットで調べてみると、「Mac OSのバグだ」とか「できないのが仕様です」などといった間違った情報が蔓延っていて、困惑させられた記憶があります。

 

そこで、本日はこの機能の仕様を解説します。

分かってみるとかなり奥が深いですよ。

きっと多くの人が陰ながら感謝してくれるはず。

 

■前提と概要

◆前提

・Mac OSのバージョンは、Snow Leopard (OS X 10.6)以降である

 

◆やりたいこと

・Finder上でフォルダ内のファイルをソートして表示したい

 (たとえば作成日付の降順に)

 

◆発生する事象

・Finderの「表示順」メニューで「作成日」を選択しても、なぜか、きれいに作成日順に並ばない

 

 

■解説

Finderの表示方法には「アイコン」「リスト」「カラム」の3通りがありますが、まずは「カラム」表示の場合について説明します。

表示方法によって、微妙に仕様が異なるのです。

 

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カラム表示の場合

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まず「ソート順テスト」というフォルダを作成し、その中にファイルを6つ作成しました。

そして分かりやすいように、作成日と更新日順にファイル名をつけました。

すると下図のような順番で表示されました。

 

 

 

 

??

これは何の順に並んでいるのでしょう?

作成日の昇順のようにも、名前順のようにも見えます。

画面上部のメニュー「表示」-「並び順序」で確認してみます。

 

 

 

 

すると上図のように、並び順は「なし」にチェックが入っています。

(デフォルトで何にチェックが入っているかは、皆さんのそれぞれの環境によって異なります)

 

ちなみに、表示順は下図のように、Finderのウィンドウ上部にあるアイコンメニューからも確認できます。

 

 

 


また、下図のようにファイルの並びの脇あたりを右クリックすることによって出現するメニューからも選択できます。

 

 

 

 

それにしても、並び順が「なし」って、このときいったい何の順に表示されているのでしょう?

この真相は後で明らかにすることにして、ひとまず下図のように、並び順を「作成日」順にしてみたいと思います。

 

 

 

 

すると下図のようになりました。

あれっ?

フォルダ内が「昨日」「過去7日間」「過去30日間」に分かれて降順に並んでいるのは分かるのですが、ファイルそのものは必ずしも作成日の順番に並んでいませんよ。

何の順かは分かりませんが、少なくともフォルダ内全体を通しての順番ではなく、「昨日」「過去7日間」「過去30日間」といったグルーピングそれぞれの中でソートされているようです。

 

 

 

 

さて、ここからが種明かしになります。

 

画面上部の「表示」メニューの中をよく見てみると、下図のように「表示オプションを表示」というサブメニューがあります。

試しにこれを選んでみましょう。

 

 

 

 

すると、下図のようにサブ・ウィンドウが表示されます。

そこには「並び順序」の他に「表示順序」という項目が!

 

 

 

 

そして「表示順序」には「名前」が選択されています。

「なるほど!」

分かりましたか?

 

フォルダ内のファイルの並び順には、実は「並び順序」と「表示順序」の2つの概念があり、「並び順序」が第1ソート、「表示順序」がその中での下位階層のソートになっているのです。

 

では、もともとの目的である作成日でのソートはどのようにすれば実現できるのでしょうか?

 

容易に考えつくのは、「並び順序」と「表示順序」をどちらも「作成日」にすることですね。

ではさっそくやってみましょう。

 

 

 

 

すると、下図のようになりました。

うん、確かに作成日順(降順)にファイルが並びました!

 

 

 

 

せっかくなので、次に「並び順序」を「なし」にしてみましょう。

すると下図の通り、「昨日」「過去7日間」「過去30日間」という第1ソートのグルーピングがなくなって、ファイルが作成日順(降順)に並びました。

 

つまり「並び順序」を「なし」にすると、ファイルは「表示順序」で指定した項目でソートがかけられることになります。

 

厄介なのは、この「表示順序」が第1階層のメニューに表示されないことです。

なのでたいていの人がこのソートキーの存在とその(暗黙の)指定内容に気づかず使っていることになり、予期しない結果となって混乱が生じるわけです。

 

 

 

 

ちなみに「並び順序」を「なし」にして、さらに「表示順序」も「なし」にしてしまったら、いったい何の順に並ぶのだろうと疑問に思いませんか?

ご心配なく。

「表示順序」に「なし」の選択肢はありません。

(厳密に言うと、リスト表示とカラム表示のときにはありません)

 

ところで、作成日の降順での表示はできましたが、昇順での表示はどうやればできるのでしょうか?

 

答えは、「カラム表示では昇順での表示はできない」です。

残念~

(裏を返せば、リスト表示ではできるということなのですが、それはこの後で)

 

カラム表示での制限という観点からついでに言及しておくと、とても大きな制約があります!

 

何と、上で見てきた「並び順序」と「表示順序」の設定(もっと正確にいうと「表示オプション」サブメニューの設定項目すべて)は、そのフォルダ単独の設定ではなく、カラム表示のツリーの親(Finderの左枠で選択されているフォルダ(ディレクトリ)の配下すべてのフォルダに一律設定されてしまいます。

 

今回のスクリーンショットの例ではデスクトップがグレー表示で親になっていますから、デスクトップもその中にあるフォルダもすべて同じ表示順に設定されてしまいます。

 

実際、スクリーンショットで「表示オプション」サブメニューの見出し部分をよく見ると、しっかり「デスクトップ」と表示されていますね。

 

想像なのですが、このカラム表示というものは、実はおまけ程度の表示機能であり、フォルダの階層構造全体を見る・辿るためのものという位置づけなのでしょう。

ですから、ソートは階層ツリーすべてに共通ですし、ソートも細かい機能まで実装されておらず、昇順降順の切り替えもできない。

 

私もふだんは「カラム派」なので、この制約は実に残念です。

どうしても特別なソート順に設定したいフォルダについては、カラム表示ではなく、あえてリスト表示にして対処しています。

 

 

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リスト表示の場合

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さて、カラム表示の次に、リスト表示を見ていきましょう。

また、新たな発見がありますよ。

 

先ほどの状態(カラム表示で「並び順序」「表示順序」ともに「作成日」)から、表示方法をリスト表示に変えてみます。

 

すると下図のようになりました。

 

 

 

 

おや?

「表示順序」の値が「作成日」ではなく「変更日」になっています!

 

そう、表示オプションの設定は、同じひとつのフォルダについて、カラム表示、リスト表示、アイコン表示のそれぞれで独立して保持することができるのです。

 

これは便利なのですが、逆にいうと、カラム表示で設定していたからといって、リスト表示にしたら、同じ表示順で表示されるわけではないということでもあります。

 

 

ここで「表示順序」をカラム表示のときと同じ「作成日」に設定してみます。

すると下図の通り、カラム表示のときと同じ表示結果が得られました。

 

 

 

 

同じように「並び順序」を「なし」に設定すると、やはり下図のようにきれいに作成日の降順に並んでくれます。

 

 

 

 

さらに、上で述べた通り、このリスト表示の場合は、カラム表示と違い、昇順・降順の切り替えが可能です。

下図は、見出し行の「作成日」の列をクリックして、作成日の昇順表示にした結果です。

「作成日」の列見出しの右端に上向き矢印が表示され、この項目で昇順に表示していることを示しています。

 

 

 

 

このとき気をつけなければならないのは、「並び順序」の設定。

 

カラム表示のときにも書いたように、「並び順序」に「作成日」を指定してしまうと、まず「昨日」「過去7日間」「過去30日間」といったグループに分類されてしまい、その中でのソートになってしまいます。

しかもこの第1ソートはリスト表示であっても降順のみで、昇順表示はできません。

したがって、昇順にしたつもりでも、下図のように中途半端な昇順になってしまいます。

 

 

 

 

 

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アイコン表示の場合

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アイコン表示の場合も、状況はカラム表示とだいたい同じです。

ですので説明は省略します。

 

その代わりにここでは「整頓」「整頓順序」の話をしましょう。

 

下図のように、画面上部の「表示」メニューに「整頓」「整頓順序」というメニューが存在しますが、これらがアクティブになっていることがほとんどなくて、これらが一体何をするものか、「並び順序」や「表示順序」とどう違うのかご存じない人も多いのではないかと思います。

 

 

 

 

この「整頓」「整頓順序」というメニューを使えるシチュエーションはごく限られていて、以下の条件を満たすときのみです。

 

・アイコン表示をしている

・「並び順序」を「なし」に設定している

・「表示順序」を「なし」に設定している

   (アイコン表示の場合のみ「なし」も選択可能)

 

 

 

このとき、当該フォルダの中のファイルやサブフォルダの位置は、マウスを使って自由に配置することができるようになっています。

 

そう、「整頓」メニューとは、そうやって乱雑に配置してしまったフォルダやファイルをグリッドにしたがってきちんと並び替えるための機能です。

 

 

■まとめ

これまで見てきたところを以下にまとめてみましょう。

 

※本当は最初に結論を記述するのが正しい説明の仕方ですが、読み物として最後まで読んでほしかったので、結論をあえて最後に記述させていただきました。

 

 

 

・並べ替えには「並び順序」「表示順序」「整頓順序」がある。

 

・「並び順序」が最優先に適用されるソート種類(第1ソートキー)で、「表示順序」がその適用結果にさらに適用されるソート種類(第2ソートキー)である。

 

・「並び順序」は、ファイルの並び順を指定するというより、ファイルを並びのカテゴリーに分類する。

(例:「作成日」の場合「今日」「昨日」「過去7日間」等に分類) 

「並び順序」のカテゴリーは降順に固定で表示され、変更不可。

 

・「表示順序」は、「並び順序」で分類されたカテゴリー内におけるファイルの並び順を指定する。

「表示順序」はリスト表示のときのみ昇順に変えることができる。

 (列見出しをクリックすることでトグルする)

 

・「整頓順序」はアイコン表示のときのみに有効で、「並び順序」も「表示順序」も指定していないときに、乱雑に散らばったアイコンをきちんと並べ直す「整頓」機能を使用するときの並び順を指定する。

 

 

 

・カラム表示時の特徴

  ・並び順を降順から昇順に変えることはできない

  ・設定は階層関係にあるフォルダすべてに適用されてしまう

 

・リスト表示時の特徴

  ・並び順は「表示順序」のみ昇順に変えることができる

 

・アイコン表示時の特徴

  ・並び順を降順から昇順に変えることはできない

  ・「並び順序」だけでなく「表示順序」も「なし」に指定できる

 

 

・その他留意点

ファイルを降順ではなく昇順で並べ替えたいときはリスト表示で行うが、それでも「並び順序」は降順固定なので、「並び順序」を必ず「なし」にして「表示順序」で設定する。

 

並び順などの表示設定は、カラム表示、リスト表示、アイコン表示のそれぞれで独立に設定が可能。

逆にいうと、カラム表示からリスト表示に変えたり、その逆にしたりするときに、同じ並び順設定になっていると思っていると、予期せぬ表示順になっていて支障をきたすことがあるので注意。

 

 

■結論  ☆☆☆☆☆

・ファイル単位に厳密にソートをかけたいのであれば、以下のいずれかに設定する(作成日でソートする例)

そのためには「並び順序」メニューではなく、「表示オプションを表示」メニューから設定する必要がある。

 

  ・「並び順序」: なし

   「表示順序」: 作成日

 

  ・「並び順序」: 作成日

   「表示順序」: 作成日

 

・大雑把な並び順でよければメニューからすぐに設定できる「並び順序」でもよい。

ただし、並びのカテゴリー内でのソートは必ずしも意図したものになっていない可能性のあることに注意する必要あり。

 

・ソートに関する限り、リスト表示が最も柔軟性・機能性に富む

 

 

以上です。