2024年6月19日雑記 | C'est ma vie

C'est ma vie

毎日平凡でいられることの、非凡さを求めています。

 

 

今回が「男はつらいよ」の締めとなります。

 

総括でもあります。

 

しかし、なぜ、今、いや、いまさら「男はつらいよ」を取り上げたのか?

 

国民栄誉賞も受賞したほどの、正に日本人ならほとんどの人が、全シリーズ見ているはずです。

 

私は、48作中、5作しか見ていません。

 

しかも諏訪家の長男満男が幼い頃までです。

 

 

私は、渥美清のファンでした。

 

彼の「目の演技」は、本当に素晴らしいのです。

 

その渥美さんが、「寅さん」に獲られてしまった感があったのです。

 

もっと他の映画で、色々な役の渥美さんを見たかったのです。

 

そいう事情もあり、私的には、「男はつらいよ」には、興味があまり沸きませんでした。

 

 

そして、最近気づいたのです。

 

私、本当に、心からこの作品を理解していたのか・・・

 

理解していなかったかもしれません。

 

 

筋書はいつもワンパターンではあります。

 

若い時に家を飛び出した男が、フーテンとなり、日本各地を渡り歩き、テキや業で日銭を稼いでいる。

 

ただし、頭はシンプルであるが、男気があり、愛想が良いので、意外と女性にもてる。

 

約20年ぶりに、生まれ故郷東京柴又に帰る。

 

年に、1~2回、腹違いの妹のいる、親戚が営む東京柴又にある団子屋に立ち寄る。

 

そして、一家団欒で食卓を囲むが、多くの場合、途中で寅さんと家族が喧嘩になる。

 

2階の部屋に泊まること大半であるが、喧嘩の後、すぐに飛び出すこともある。

 

それでも、またしばらくすると、柴又に帰って来る。

 

現地で知り合った女性が、なぜか柴又を訪ね、多くが泊まって行く。

 

しかし、実を結ぶことはなく、ほとんど失恋の繰り返しである。

 

 

最近「男はつらいよシーリーズ」を第1作、第28作から第50作まで鑑賞しました。

 

そこには、作り手(山田洋次監督)のメッセージが画面に登場するのです。

 

何気ない会話、行動の中に、私たちが忘れていた、いや捨ててきた魂の財産が散りばめられているのです。

 

寅さんが持つ、人間の原点の優しさ、

 

また、人間の原点の生き方、

 

人間の原点の哲学

 

それらが、山田監督は、私たちに伝えてくれています。

 

私は、実は寅さん的生き方は、山田さんの理想の生き方なのではないかと思うのです。

 

会社社会、家族に囚われない生き方、

 

日本各地を巡り、現地で知り合った人たちと、一合一会の出会いをする、

 

恋が芽生えても、相手の幸せ(!)を考えて、自ら去って行く、

 

 

そして、何と言っても、帰る場所を大切にしている、

 

もちろん、柴又のことです。

 

また、寅さんを囲む柴又の人たちの優しさ、絆、

 

団子屋での一家団欒の食卓、

 

寅さんは、この帰る場所があったからこそ、ますます充実した人生を送れたのです。

 

もしかして、人間誰しも、できれば寅さん的生き方を望んでいるのではないでしょうか。

 

 

いまさら、寅さんです。

 

 

いや、今こそ寅さんなのです。