海のものと、山のものと、小さいひとと。 -153ページ目

子どもの時計に添ってみる


海のものと、山のものと、小さいひとと。


 食の細い子ども程、親がちょこちょこ食事を与えたりします。だけれども、子どもはお腹も空いていないし食べる気が無いものだから、食べ物が口の中にずっと残ってしまいます。そうすると口の中のphバランスが崩れやすくなり虫歯の原因となることがあるそうです。


 歯科医の先生から、「この子は食の細い子です。無理に食べさせてはいけません。お腹がすいたら必ず何か食べますから、その時間がいつなのかお母さんが見極めて完食できるだけの量の食事をあげてください。」と言われ、合点がいきました。


 なおくんは、食が細く食べるスピードもゆっくりで、例えばおやつのおせんべいなども、お友だちはすでに5枚も食べきったというのに、まだ最初の1枚をいつまでも手に持っていたりしています。結局のところ、お腹がすいていないからなのだけれど、それならば1日のうちでお腹がすくのはいったいいつなんだろう?と、のんびり観察してみることにしました。


 そして、思い出したことが一つあります。今から1年半前のことになります。


 なおくんを出産してから1ヶ月の間、私は実家にお世話になりました。田舎なので、出産の知らせを聞いてご近所の方々が赤ちゃんを見に来てくださいます。そんな折、小さい頃からずっと知っている近所のおばあちゃんがお二人づれで、お祝いに来てくださいました。80歳を過ぎてすっかり皺が深くなられましたが、子どもの頃、よく遊んでいただいたやさしい笑顔そのままにお元気なご様子で、久しぶりにお会いした嬉しさと懐かしさも手伝い、時間の過ぎるのも忘れて母乳のことや育児のことなどたくさんのお話しをしました。

 おばあちゃんたちは、口をそろえてこう言います。

「わたしら子どもを育てるのに、時計なんか見たことなっかったわ。」と、おっぱいや、食事の時間、量、遊び、その子どもに添っていったらそれでいいと、そう教えていただきました。


 さて、時計を無視すると心に決め、様子をうかがっていると、いつもの昼食時間とは少し後ろにずれたタイミングで冷蔵庫を指さして【いちご】、【食べる】とベビーサインで教えてくれました。

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なおくんの【いちご】のサインは、人差し指(数字の1)で、もう一方の手をパー(数字の5)にして、その手のひらをちょんちょんと突っつきます。

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なおくんの【食べる】のサインは、「あーん」と言いながら片手を口元に近付けてお口をパックンモグモグ、食べる様子を表します。

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 いちごを2つ食べると、お手てをパッチンごちそうさま。次にお腹がすくのはいつなのだろう?とまた様子をみていると、やはりいつもの夕食時間とは後ろにずれたタイミングで、【おにぎり】が食べたいとサインで教えてくれました。

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なおくんの【おにぎり】のサインは、NHKのいないいないばぁの「おにぎりにぎにぎ♪」のステップを踏みます。

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 親指の先ほどのおにぎりを1つ食べて、お手てをパッチンごちそうさま。大人の時計で食事をさせようとすると、こうご機嫌良くは食べてくれません。これがこの子のリズムと量なのだと分かりました。


 「時計なんか見たことない」と教えてくれたおばあちゃんたちの育児は、目の前の子どもの様子をよく見て判断し必要な時に必要なものを過不足なく与えるということなのだと思います。子どものリズムは十人十色、そのタイミングも様々、なんとおおらかな子育てなのでしょう。


この子には、この子の「今のリズム」がある。

なおくんを、大人の時計に合わせて社会生活に組み込んでいくのは、もうしばらく先延ばしにしてもいいかなと思うのです。