ここ数年特損に計上されるだろうと考えられきた突発事項が常態化してきたと感じる。少し遡ればリーマンショックから始まり、東日本大震災、欧州金融危機、タイ大洪水、円高などなど。

各社の毎年の有報には、リスク要因としてこういった事象がほぼ記載されている。もはや、こういった業績低下事象は常態化する前提で考えるべきなんだと思う。

では、企業はどう対処すべきか?

大きくは2つある。一つはこういった事態に影響を受けない強い事業づくり。もう一つはこういった突発変化に柔軟な対応を取ること。両方とも言うは易し行うは難しだ。

特に前者は業界のタイプに依存する。リーマンショックでほとんど影響を受けなかった製薬業界がいい例だ。よって、前者はオプションとして採用が難しい。となると、後者だが、こちらもすぐのリストラというのも当然固定費が対象となるので、これまた困難だ。

ひとつの解としてありうるのが、付加価値(率)の向上だ。付加価値(率)とは、売上から外部購入価値(外注加工費、仕入原価・購買費など)を差し引いた価値であり、コスト構造を管理可能コストに変えるということだ。そうすれば、業績低下事象にも柔軟に対応することが可能となる。

但し、これは事業の観点から見ると内製化することと同義であるため、えてして固定費の割合が高まりやすい。よって、競争力強化の観点も加味すると、提携による擬似内製化をどうマネージするかという論点に挑戦するということになる。

昨今の業績低下事象の常態化を見るに付け、提携のあり方が企業戦略において重要な側面を持つような気がする。
USCPAの試験は基本単式簿記。なぜなら米国の大学で複式簿記を勉強したことが前提となっているから。だから複式簿記をあまり理解していない日本人で合格する人も少なからずいる。

そういった人は実はPL/BS/CFの関連性があまりよくわかっていない。なんなら簿記二級取得者の方がよっぽど理解している。

特に引当金や繰延税金資産の仕訳は、USCPA保持者でもきちんと理解していない人が結構いる。事業と財務の因果関係をきちんと把握したいなら簿記二級の方が役立つと感じる
中途採用面接でずっと引っかかっていたことがあり、最近ようやく気づいたことがある。立板の水のごとく論理整合性の取れた話ができるのだが、リアルな想像力に欠ける演繹キリギリスが圧倒的だということ。

確かに論理的には正しいが、果たして本当にそうなるのという疑問が払拭されない。そうあくまで仮説の域を出ないのだ。演繹法は前提が動かないことを前提としているので、前提が異なれば当然論理破綻を起こす。良い例が東日本大震災での原発事故だろう。しきりに想定外がクローズアップされたように、前提が異なったため、想定した安全が担保できなかったわけだ。

演繹キリギリスに共通しているのが、机上のみで物事を考えており、現場のリアリティにまで想像が及んでいないこと。いわゆる高学歴者に多い。プロブレムソルバーは地方国立大出身であり、駆け出しの頃は、高学歴者の演繹展開に感心したものだ。

なかなかそれができないプロブレムソルバーは帰納アリに徹した。つまり、現場でひたすら情報を集め、共通する事象、ルールを洞察し続けたわけだった。

演繹キリギリスでは、インサイトは生まれず、仮説の域を出ない。帰納アリは、現場でインサイトを生み出し、前提を検証する。

両方身につけられれば言うことなしだが、現場で仕事をしているクライアントに共感し、確実に成果を提供したいのであれば、帰納アリの生き方を選びたい。