PMI(経営統合)は得てして、2社のオペレーションを片寄せするだけで管理コストが増えただけの結果になりがちだ。特に日本企業同士の経営統合は人員削減に踏み込めず、売上シナジーを追求するのだが、一番創出が難しいシナジーであるがゆえ、結果コストだけ増え収益性が落ちましたというケースが散見される。

経営統合は既存資産の融合という固定観念を捨て去ることが必要だと思う。経営統合は変革機会と捉え、新規資産とのシナジーを本来追求すべきと思うのだ。つまり今までできなかった構想にとどまっていた新しいことをやる機会と考えるのである。

経営統合はあれこれやることが多いが、ほとんどは2社の「プライド調整」に過ぎない。そんなプライド調整に時間を割くのではなく、両社が業界に先駆けて取り組むタブーに挑戦することこそ経営統合の意義ではないだろうか。

変革時であるために社員のマインドセットは高揚している。(全体の2割程度だが)変革時だからこそより高い目標も受け入れられる。人員削減に切り込めないのならば、一層のこと新規資産とのシナジーを追求することで、イノベーションシナジーを実現することが日本企業にとって有効な手立てではないかと思うのである。
コンサルティングビジネスは、クライアントで決裁権者である社長や事業部長からフィーをもらって彼らの期待値を超える付加価値を出すことが求められる、と言うことが通念となっている。

コンサルとしてそこそこの累積経験が蓄積されてくると感じるのが、フィーをもらっているカウンターパートが本当にクライアントなのか?という疑問だ。

カウンターパートがこれをやりたいと言っても、こちらの洞察では筋が悪そうであれば、むしろ反対を進言する。ここでクライアントのやりたいことの裏付けとしてコンサルが利用されることも実は結構多いが、クライアントの真の利益を考えると徹底的に反対することがコンサルとして真摯な態度だと教育される。

そう、真の利益のためには、が実はクライアントではないかと思う。つまりコンサルのクライアントは企業価値ではないかと最近思うのである。そう考えると経営が全てのステークホルダーの全体最適化を図る価値創出作業であるとするならば、その結果は企業価値であり、まさしく見事に符合する。

コンサルのクライアントは企業価値だと思う。
コンサルティングの成果物とは何か?

報告書。DDならそうなんだろう。しかし、目的は報告書に書かれた戦略を実現し、変革を起こしPLに結果として反映されることだ。

報告書はあくまで道具であり、目的は変革。見誤っているコンサルがあまりにも多すぎる。