something newへの期待が高い。something newとはクライアントが思いもよらない新しいアイデアを指す。コンサルにとって一番期待される領域であり、一番難しい領域である。なぜならsomething newを期待するクライアントはこれまで散々考え、トライしたにもかかわらず起死回生の業績回復の妙案が浮かばなかった経験からコンサルに依頼した経緯があるからだ。

something newを抽出するにはゼロベースで一旦実現性は脇において考える事が必要になる。例えば車の新しい機能を考えてくださいと言われたら、「チャイルドシート用の座席を開発する」「環境に優しいエンジンを開発する」といった現状の延長線上の発想ではなく、「空飛ぶ自動車」「オートマチック洗車機能」「シャーシカスタマイズ機能」といった現在の技術力ではまず不可能な機能でも超未来的な視点でアイデアを考えないとsomething newはでてこない。

something newを考えるには市場のニーズや競合の動きといった近未来的な視点ではなく、それらの一切の制約を設けない超未来的な視点で考えた方が良い。
新人アナリストの教育をやっている。

P「競争激化ってどういう状態か説明して」

S「市場プレイヤーが多いことでしょう」

P「じゃあ、市場プレイヤーの少ないビール業界は競争は激しくないの?」

S「えっと・・・激しいですね・・・」

P「そもそも競争ってどういうこと?」

S「競争は争って競うことですよね」

P「それは文字を展開しただけだけでしょ。どういう状態を指すの?」

S「プレイヤーが生存をかけている状態でしょうか?」

P「そうそうそんな感じ。少し近づいてきたね。生存をかけているって具体的には?」

S「同じテリトリーの収奪をかけて攻守している状況でしょうか。」

P「まあ、競争はそんなところかな。じゃあ、競争激化とは?」

S「その攻守の回数が多いことじゃないですか」

P「回数だけ?」

S「1回の攻撃の苛烈さもありますね」

P「プレイヤーによっての違いとかは無いの?」

S「ああ、リーダー企業とチャレンジャー企業がやりあっていると市場への影響が大きいですね」

P「リーダーから攻撃する事って多いのかな?」

S「チャレンジャーがどれだけリーダーに攻撃を仕掛けているかでしょうか?差別化だったり低価格化だったり」

P「そう、チャレンジャーが攻撃的でリーダーがその攻撃に対して間髪入れず対抗している攻守状況が競争激化と定義できそうだね」
ほぼ1年ぶりの純粋戦略策定のケースをコンペ獲得。自然と気合が入る。コンサルほぼ未経験クライアントのため、基本的な市場・競合分析もしっかり見せて欲しいとのこと。

若手スタッフには戦略策定に必要な全てのタスクをやってもらおう。勉強ではなく、しっかりと成果を出すようにと伝えた。ストレスになるくらい頭を使って欲しいし、きっちり詰めて詰めて懲らしめるぐらい詰めてやろうと思う。

カウンターは社長。まさに興国の興廃はこの一戦にあり。さあ、まずは仮説立案だ。