ケンジ、永遠に
本記事は定例コラムではありません。
いつものコラムのほうは、ちゃんと執筆してますので...
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2010年11月1日、永眠したギタリスト。
彼との出会いは もう16、7年前くらいか...
ツテあって友人のライブでセカンドギタリストとしてサポートすることになり、そこで会った彼のプレイはホントにめっちゃ良かった。めったに人のプレイを賞賛しない自分も、コイツだけは凄い!と思った。
この頃に彼の家に行ったとき、まだ発売されて間もないジミ・ヘンドリックスのウッドストックのビデオ(VHS)を見て...Purple Hazeあとのソロプレイがスゴいなーとか... お互いのピックの持ち方とか、トリルの速さはどう?とか、無邪気にギター談義した覚えがある。ガンダムED「永遠にアムロ」の突然のエンディングはコードD?とかアホな話もしたっけ。
その後は色々あったらしくて長いこと会わなかったが...
再会してからは、今度は自分のバンドのライブにサポートで参加してもらった。
相変わらずいいプレイ、いいヤツだった。
最近の彼の活動はwebで見たけど、正直言ってあんまり好きじゃなかった。
何かおざなりで、キレイ過ぎて。
彼がやるのはブルースが一番似合う。(異論はあるかも知れないが、そう思っていた)
でも、新しく始めかけたバンドは、自分も腕を良く知るメンツだったので、期待はあった。
まだまだ、これからだったはずなのに。
彼の心臓は36年でその動きを止めた。検死でも変なところは見つからなかったという。
中島健之、KEN中島。
この名は忘れない。
Forever In My Heart.
クラッシュ・ランディング
ウッドストックでのショットを思わせるジャケットは、シンプルながら印象的です。
ジミの音源の権利がアラン・ダグラスの手に渡った頃、彼のプロデュースのもと、エンジニアのトニー・ボンジョヴィがエンジニアを務めたアルバムです。ちなみにトニーは、かのジョン・ボンジョヴィの従兄弟だとか。
収録曲は以下のとおりです。
1. Message To Love
2. Somewhere Over The Rainbow
3. Crash Landing
4. Come Down Hard on Me
5. Peace In Mississippi
6. With The Power
7. Stone Free Again
8. Captain Coconut
全8曲で、トータルわずか30分しかないこのアルバムですが、なんと全米5位にまで輝いているんですね。それにもかかわらず、現在再販されていないのは、やはり決定的な理由のせいか...
そう、決定的な問題とは、「ジミの歌とギターだけを残し、生前のジミとは何の交流も無かったセッション・プレイヤーたちの演奏をオーバーダビングして、完成曲として仕上げたアルバム」という点なのです。
よく見るとレコード盤の方のライナーに、こんな記載がありました。
「・・・このアルバムはレコーディング・デイトが明記されていないが、メンバーから察するに、かなり末期のレコーディングであろうと思われる。ビリー・コックス、バディ・マイルスのほかに、ジミー・モウレン、ジェフ・ミロノフ、ボブ・バビット、アラン・シュワルツバーグといっためずらしい顔ぶれであるが、録音状態も良好で、ジミの硬質のストラトの音が、ガッチリとよくとれている。・・・」
情報の少ない時代だったのか、販売側が公表していなかったのか?...今みれば、めずらしい顔ぶれというのも上述の理由から当たり前のことですがね。
バディ・マイルスとビリー・コックスによるバンド・オブ・ジプシーズ時代のセッションが主体になっていますが、それもジミのパートだけ使用されているのがほとんどになります。「Message To Love」はこの中で1番ジプシーズの純正オリジナルと言えるくらいですが、ライヴで聴かれる前半のBメロが無く、ちょっと物足りない感じです。
1975年というと、ジミの死後、マネージャーであったマイケル・ジェフリー(1973年に他界)の管理下で既に数枚のスタジオ・アルバムをリリースした後で、もう残っているのはデモや曲のスケッチくらいのものでしかなかったため、この状況からダグラスは、リズムパート等を新しく録り直すという決断に至ったのであろうと推測されます。
まあ、今年リリースされたアルバム「ヴァレーズ・オブ・ネプチューン」に関しては、エディ・クレイマーの相当な努力と現在の技術の向上により発売が果たされたものと思いますが、それでも、エクスペリアンスのスタジオ・リハーサルテイクを一緒に収録したのは、クオリティを保とうとしてそうなったんでしょうし、もうリリースに耐える未発表曲なんてのは皆無に近いんでしょうね。実際のところ...
そして気になるのはオーバーダブに関して、何故ゆえにジミ存命中のメンバー(上記のバディとビリー、それからミッチ・ミッチェル、ノエル・レディングなど)が起用されなかったのか?というのが当然の疑問となります。
ボンジョヴィが説明するところでは「ミュージシャンたちは楽譜を読み込み、正確なオーバーダビングという芸をこなせないといけない。昔のジミのメンバーもトライできたであろうが、15小節目の2番目の音をパンチ・インする、なんてことになったら、彼らには時間も忍耐力もなかったと思う」というようなコメントをしており、ダグラスの方も「ジミは常にリズム・セクションに問題を抱えていた」なんて事を言っています。
確かにこの完成されたアルバムを聴く限り、安定したリズム、時には女性コーラスまでも入れられており、楽曲的には素晴らしい出来といえるかも知れません。
しかしその一方で、ジミのバンドメンバーを否定することは、すなわちメンバーを選んだジミ自身をも否定することに繋がるという見方もあるわけです。バンドを続けていくためには、演奏技術以外の面も重要なのです。例えばビリー・コックスが弾き出したフレーズをジミがよく取り入れて新しい曲に発展させていった、なんて話があるくらいですから、彼らがジミの助けになっていたことは明確だと私は思います。
今となっては「こんなアルバムもあった」というくらいの、資料的価値の側面が強い気がしますが、エンジニアのボンジョヴィが苦労して(テープの切り貼りや、パートの採譜までして)作り上げただけあって、予備知識無しなら音楽的にしっかりと聴ける仕上がり。特に挿入されたコーラスやパーカションの影響か、ソウル色も垣間見える良作...という皮肉な側面もある、そんな1枚です。
手持ちのCD盤とLPでは、裏ジャケが違ってました。CDはちょっと手抜き感が。
フェーマルン島 - 最後の公式ライヴ
そんな9月に取り上げるのは、この1枚。
1970年9月6日、ドイツのフェーマルン島にて開催された「ラヴ+ピースフェスティバル」の音源です。これがジミにとって最後の公式コンサートになりました。
1. Introduction
2. Killing Floor
3. Spanish Castle Magic
4. All Along The Watchtower
5. Hey Joe
6. Hey Baby (New Rising Sun)
7. Message To Love
8. Foxey lady
9. Red House
10. Ezy Ryder
11. Freedom
12. Room Full Of Mirrors
13. Purple Haze
14. Voodoo Child (Slight Return)
この数日前には、あの有名なワイト島フェスティバル(8月30日)があり、その音源はオフィシャルリリースされていますが、このフェーマルン島はエクスペリアンス・ヘンドリックスが手がけるダガー・レコードによるリリースで、公式ブートという位置づけのものです。このCD、音質こそ良くありませんが、一応関係者がステージ脇からマイク2本で録音したものを元に作られているそうで、そこらのブート盤に比べると、全然問題なく聴けるレベルと言っていいでしょう。
このイベントは、ヘルズ・エンジェルズの暴力沙汰や暴風雨にみまわれ、ジミは夜の出演予定だったのを悪天候のため次の日に変更し、日曜の午後1時という真昼間の出番となったそうです。youtubeなどでこの日の映像を断片的に見ることができますが、明るい日中の野外でのステージとなってるのはこのためですね。
演奏前、前日の出演がキャンセルになったことへの観客の不満がブーイングとなり、ジミも少し動揺しているようです。そしてキャンセルについて陳謝し、「Killing Floor」のイントロに入ります。そういえば、既発の音源で聴けるエクスペリエンスの最初期(1966年10月18日)の曲もKilling Floorですね。公式ライブ音源で、最初期と最後期のオープニングが同じ曲というのは感慨深いです。とにかくこの1曲目で、なんとか観客も機嫌が直った模様。
2曲目「Spanish Castle Magic」が終わってチューニングしていると、観客から「Hey Joe! Hey Joe!」とリクエストの声がひときわ大きく聞こえます。ジミもそれに応え、「その前に他のヤツも演っておきたいから」というようなことを述べて「All Along The Watchtower」をはさんで、ちゃんとリクエストどおり「Hey Joe」をプレイしてくれてます。
このライブで全体的に思うのは、特に歌うことに気合が入っている印象です。「All Along The Watchtower」あたり、かなり張り切って歌ってます。さらに「Hey Joe」ではビリー・コックスのコーラスがはっきり聞こえます。頑張れ、ビリー!
「Hey Baby」から「Message To Love」への強引つながり。このあたりからチューニングが怪しくなっていきますが、気にも留めないようで、弾きまくりの歌いまくりは真骨頂に。
「Freedom」のあと、ビリー・コックスのベースソロなんてのも聴けます。頑張れ、ビリー!ww
しかし、この辺「Ezy Rider」「Freedom」「Room Full Of Mirrors」の3曲なんて、立て続けに新曲を披露していることになるんですよね。1970年当時のアルバムにも入っていない、これらの曲を臆面なく披露されてお客さんはどう感じたものか、当時の人に聞いてみたいもんです。無理でしょうけど...
前半が未収録で途中から聞こえてくる「Purple Haze」は、きっとテープチェンジなんかで録れなかったんでしょうね。ちょっぴり残念。
「Thank You, Good-Bye, Peace.」
最後の「Voodoo Chile」を終えたジミは、こう言ってステージを後にしました。ジミたちが逃げるように素早く去っていった後、ヘルズ・エンジェルズたちがステージ押し寄せ、ジミのローディーの1人は発砲されたとか。そしてステージは放火されフェスティバル終焉となったそうです。
そしてこのステージの12日後、ジミは帰らぬ人となってしまいます。
結果的に最後の公式ライブとなってしまったこの日、暴動や悪天候に見舞われてしまったのは実に残念ですが、どっこい演奏の方は中身の濃いものです。ダガー盤を手に入れるには海外からの直販か、量販店で扱っているのを探すか、もしくはヤフオクとかになると思うんでちょっと苦労しますが、ワイト島に比べてもこちらの方が好調な感じなので、興味のある人はぜひ。必聴の1枚ですよ!
オフィシャル・ブートということもあって、当日の写真などもちゃんと使われています。





