2025年7月の「月に一度は劇場で映画観賞」もその“期限”が迫った今日、ようやく劇場に足を運ぶことが出来た。選んだのは『ババンババンバンバンパイア』。本来ならば今年の“バレンタイン”に封切る予定だったが、主演俳優の“不祥事”により延期、この度晴れて公開の運びとなった作品だ。かく言う私も、本来ならば先週の土曜日に観賞する予定だったが、“出遅れ”により頓挫、この日に晴れて無事観賞の運びとなった。
本作はタイトルにある通り、吸血鬼(バンパイア)が主人公の作品で、その舞台は銭湯。そして「ババンババンバンバ~ン♪」といえば、我々“昭和世代”ではおなじみの、ザドリフターズの「いい湯だな」である。だから銭湯設定がタイトルの由来かっていえば、劇中本作の舞台が銭湯である必然性はあまり感じられず。おそらく、この“出オチ”の様なタイトルありきの企画(漫画)だったのだろう。まあ、作品のエンディングが律儀にも「いい湯だな 2025 imase × mabanua MIX」だったのには好感が持てたが。
吉沢亮演じる主人公のバンパイア・森蘭丸は不死身の生命を持ち、戦国の世より今日まで400有余年生き続け来た。同じ吸血鬼でもベラ・ルゴシやクリストファー・リー、そして岸田森らが演じたドラキュラは女性の血を好んで吸ったが、蘭丸が好むのは男性の血。だがら戦国時代に寵愛を受けた織田信長の血も吸ったし、今も夜な夜な街中のチンピラたちの血を吸っては飢えを凌いでいる。しかし彼にとって“至高のご馳走”は童貞の若者の血液。ここら辺の設定には、ポール・モリセイ監督のバンパイアホラー『処女の生き血』の影響が色濃く出ていたんじゃないか、って思った。もっとも当作でウド・ギアー演じるドラキュラは処女の生き血以外は身体が受け付けず、その分(ドラキュラにとっての)悲壮感(飢え)も半端じゃなかったが、蘭丸の場合は、不味くても童貞以外の生き血も吸うことは可能なので、いきなり生命の危機、なんて設定がない分安心してみられる。っていうか、これは「ゴシックホラー」の名を借りたコメディー映画だ。ただ、劇中何度も「童貞喪失絶対阻止」なんて連呼されるのには流石にうんざりしたよ。もともと上映前から因縁浅からぬ作品なだけに、予告編では敢えて「ピュア」と“無難に”呼称していたがね。
さて、今から10年前のある日、炎天下の小径を彷徨っていた満身創痍の蘭丸は、たまたま通りかかった“銭湯「こいの湯」5代目”の小学生・李仁に声をかけられ且つ助けられたのが縁で、「こいの湯」に住み込みで働くことになる。それから10年、高校生に成長した李仁(板垣李光人)に対して蘭丸はある野望を抱く。それは、彼の求める血液の理想の条件である「童貞の18歳」に、後2年で李仁が到達する、その瞬間を今や遅しと待ち構える、というものだ。しかし、高校最初の登校時、李仁は運命の女性・葵(原菜乃華)と出会ってしまう。恋愛=童貞喪失の危機と短絡的に考えた蘭丸は、何とか二人の仲を裂こうとするのだが、その行動が悉く裏目に働いて……
本作の特徴は、ポスターの惹句にある通り、登場人物夫々の“勘違い”が、物語をいびつな方向に展開させていく点にある。何故が「超」が付く位の「バンパイアマニア」である葵は、彼女と李仁の仲を裂こうとする蘭丸の言動を自分への愛情と“勘違い”するし、同様に李仁は蘭丸を葵の奪い合う恋敵と“勘違い”する。蘭丸を「兄貴」と慕う“脳筋番長”で葵の兄の“フランケン”こと健(関口メンディー)は蘭丸の「李仁に変な“虫”を近づけるな」の指令に「妹の葵を李仁とくっ付けたら『変な“虫”は近づかない』」なんて“勘違い”なことを考える。比較的状況が見えているバンパイアキラーも、使命を忘れ自らの血を吸ってくれと蘭丸に迫る。そんな中で“自分のミッション”のために蘭丸は涙ぐましいばかりの“暗躍”を続け、しかもそれが前述のように悉く裏目に出てますます彼の「野望」を窮地に追いやっていくという、かわいそうになるくらい馬鹿馬鹿しい展開が続く。しかもそこに蘭丸の兄のバンパイア・長可(眞栄田 郷敦)まで絡んできて、もはや収拾の付かない怒濤のクライマックスに雪崩れ込んでいく。文字通り“カオズ”な世界。もっともここまで来ると観ていてある種の快感すら覚えてしまう。もう作品世界に身を委ねるしかないと……ここら辺りは、SABU監督の『ポストマンブルース』の世界観を彷彿させた。
ちなみに、李仁を演じる板垣李光人って俳優は、ホント“ウブ”を絵に描いたような高校一年生ってイメージなんだけど、実は御年23歳!。また、初見かと思ったら『ゾッキ』にも出てたそうだし、『はたらく細胞』ではクライマックスに永野芽郁と共に大活躍する新米赤血球役を演じていた俳優だった。それと、葵の部屋に所狭しと並べられた吸血鬼・バンパイア関係の書物の中に、手塚治虫先生の『バンパイヤ』単行本があったけど、あれは吸血鬼じゃなく「狼男」の物語だったはずだ。
エンディング以外にも劇中夫々の登場人物の歌も披露され、どこかミュージカル映画っぽさ(といっても三池崇史監督の『愛と誠』っぽいが)も感じさせる、なかなかのエンタメ映画だったよ。オチは書けないけど、観終わって何だかホッコリするような作品だった。至るところで“予定調和”だったし……
今年初のスイカはもう食べた?
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