幼児が同乗できる自転車については保育所への送迎などで今後も高い需要が見込まれ、特に車での送迎が制限されるケースの多い都市部を中心に、他に代替し難い重要な移動手段となっています。一方で幼児同乗中の自転車における発生もしており、消費者安全調査委員会から「幼児同乗中の電動アシスト自転車の事故」について調査結果が報告されています。
医療機関ネットワークには自転車後部に子供を同乗させて走行していた際の事故事例が、2019年度以降の5年間で207件寄せられています。その中には、自転車後部の幼児用座席に乗せていた子供が身体をはみ出していたことで障害物に接触する事故が発生しており、大腿骨を骨折するなどの重篤な怪我を負った事例も複数みられます
【医療機関ネットワークに寄せられた事故情報】
<身体のはみ出しにより大腿・下腿が障害物と接触した事例>
*保護者の運転する電動アシスト自転車後部の幼児用座席に乗っていたところ、子供の右足とガードレールが接触し受傷した。
*保護者が運転する電動アシスト自転車後部の幼児用座席に乗っていたところ、徐行して車止めのポールを通過する際に子供の右大腿がポールに接触し股関節を開く形で受傷した。
<スポーク外傷の事例>
*保護者が運転する自転車の後ろの荷台に乗っていて、左足が巻き込まれた。幼児用座席は使用しておらずサンダルを履いていた。
【テスト結果】
<身体のはみ出しによる事故の再現>
*走行中に足を伸ばすなどした場合、幼児用座席からはみ出した身体が電柱や標識の支柱に接触することがありました。
*後部の幼児用座席に乗った子供の目線からは、前方の障害物を視認しにくいことが分かりました。
*幼児用座席から頭部をはみ出していると、障害物と接触することがありました。
<狭い通路を走行した際の事故の再現>
*自転車後部の幼児用座席に子供を乗せた状態で狭い通路を通過すると、子供の下腿が障害物に接触することがありました。
<スポーク外傷の再現>
*幼児用座席を使用せず荷台に子供を乗せると、子供の足が車輪に強く巻き込まれる可能性がありました。
【消費者へのアドバイス】
*自転車後部の幼児用座席に乗った子供は、前方の視界がほとんどありません。子供にシートベルト及びヘルメットを適切に装 着させ、身体をはみ出さないよう声掛けをしましょう。
*狭い通路を走行する際は同乗させている子供が障害物と接触しないよう、自転車から降りて押し歩いて通過をしましょう。
*子供を自転車に同乗させる際は、年齢や身長に合わせて必ず幼児用座席を使用しましょう。また荷台に子供を乗せないこと・小学生以上の子供を自転車に同乗させないことを徹底しましょう。(国民生活センター抜粋)