【ゴミも資源もあなた次第】

 <そもそもゴミって?>

 辞書などを調べてみると「泥/その場所を汚している/役に立たない/汚いもの」とマイナスな表現が並びます。法律では、廃棄物処理法関係で「自ら利用したり他人に売ったりできないため不要になったもの」とされています。つまりあなたが今その手にしている何かも、もう要らないと思って捨てた瞬間にゴミになります。逆に要ると思う誰かの手に渡れば資源になるのです。

 

 <ゴミはどれくらい出ているでしょう>

 ゴミは大きく家庭から出る一般廃棄物と、工場などから出る産業廃棄物に分けられます。では皆さんが家庭から出している一般廃棄物の量はどれくらいでしょう・・・

 人や家庭によって大きく違いますが、平均すると1人1日約1㎏です。決して少ない量ではありませんね。長い目で見ると日本人が大量のゴミを出すようになったのは、戦後の高度経済成長期になります。簡単に言うと、この時期に大量生産・大量消費・大量廃棄に転換したのです。

 

 <ゴミはなぜ問題なの?>

 ゴミが急増する中、様々な問題が生まれてきました。日本では焼却処理が主流ですが、そこから有害なガスが出る問題や残った灰などを埋め立てる最終処分場のひっ迫・処理に掛かる費用の増大などです。これらを制度や技術で解決に努めてきましたが、残された課題もあります。

 京都大学名誉教授は1980年から、家庭ゴミを約400種類に分類する調査を続けてこられました。その中で見えてきたことの1つは、開封されずに捨てられた食品の存在や使い捨て商品の多さです。また分けて出せば資源としてリサイクルできるものも、燃やすゴミにたくさんはいっていることです。

 

 <ゴミを資源に変えるために今すぐできること>

 ゴミの分別方法はお住いの区市町村によって違いますが、どこでもできて効果的なのは店などでの個別製品の回収に協力することです。例えばスーパーの店頭で回収しているトレー類は、再びトレーに生まれ変わります。家庭でプラスチックゴミとして、他の多様なプラスチック素材と混ざってリサイクルされるより品質の高いリサイクルになります。ひと手間ですが、慣れれば苦にならないものです。

 

 

 【このゴミどうする?捨て方ひとつで大事故に】

 <様々な特徴をもつゴミ>

 一言でゴミといっても、実に多様です。製品が多様なので当然ですが、例えばそもそも一緒に売られることがなかった容器と文房区・繊維類などが家庭で使用されて、一緒に捨てられる時期を迎えることもあるのでそれ以上に多様になると言えるでしょう。中でも注意が必要なのが、危険・有害なゴミです。そんなものは工場や病院などからしか出ないと思っていたら大間違いです。家庭にもあり使用中にリスクがあるものもあるのです。

 

 <危険な製品・ゴミに要注意>

 実は最近、ゴミ収集車や処理施設で火災が相次いでいます。中には大きな事故になり、数億円の復旧コストが掛かるケースもあります。その原因の一つと考えられているのが、スマホ・携帯扇風機・ワイヤレスイヤホンなど、皆さんが毎日に使っている製品に入っている小さな電池なのです。製品に電池が入ったまま捨ててしまうと、回収や処理の際につぶれた発火する恐れがあります。お住いの自治体のHPなどで、ゴミの分別方法を確認するなどして正しく分別して下さい。

 

 <危険なゴミも捨て方ひとつで貴重な資源に>

 電池類や小型の電化製品の分別回収は安全性の面だけでなく、資源の面からも重要です。これらの中には、貴重・希少な金属類であるレアメタルを含むものがあるからです。日本では鉱物資源はあまり採れませんので、都市鉱山として注目されています。公共施設や店舗で回収しているところも増えてきているので、WEBなどで近くの回収拠点を確認してみて下さい。

 

 <捨てることは意外と難しい>

 ゴミに向き合えば向き合うほど適切に分けてより良い資源にするためには、色々な知識や判断が必要だと感じます。製品を選ぶ段階から、捨てるときのことを考えてしまいます。これは分別が大変そうだ・燃やすしかなさそうだとか・・・楽しいお買い物ですが、少しだけ捨てるときのことも考えてみませんか。また、再生素材や再生可能素材を使った製品を購入するのも有効です。消費者の選択は重要な投票行為です。資源の有効利用や環境に繋がる製品や、それを作るメーカーを指示するため大切なクリーン投票をお願いします。

 

 

 【できるだけゴミを出さない暮らしへ】

 <エコとおしゃれは両立できる>

 最近、ファッションロスという単語も聞かれるようになりました。大量生産・大量消費・大量廃棄は、衣類業界にも浸透しています。毎シーズンはやりの衣類が売り出されワンシーズンで捨てられるものも多くあり、そのもったいなさを指摘する言葉です。衣類のリサイクルは現状、技術的にも限界がありまだ進んでおらず余計に問題視されるようになってきました。そのような中、多様なファッションの在り方が注目を集めるようになってきました。例えば、アップサイクルやレンタル・シェアリングサービスなどです。おしゃれは、エコに楽しめるようにもなってきたのです。

 

 <アップサイクルで世界に一つのおしゃれを>

 再び循環するリサイクルに対して、アップサイクルはアップさせて循環することを指します。使い終わったパラグライダー・電車の座席シート・球技のボールからできたバッグ・工場の端材や海洋ゴミからできたアクセサリーなど、使う材料もできる製品も実に様々です。ストーリーがあるだけでなく、デザイン性が高いものも多く生み出されており、商品化されているものもあります。世界に一つしかないというのも、おしゃれ心をくすぐります。

 

 <3Rで持続可能な社会へ>

 ゴミは、自分や社会を映し出す鏡だと思います。大量生産・大量消費・大量廃棄の社会システムの中で、便利な使い捨て文化に慣れてしまった私達の生活は、いつか破綻してしまいます。もったいないゴミを見ていると切実に感じます。変革のための行動として、3R(リデュース・リユース・リサイクル)について改めて確認しておきたいと思います。3つのRは、単に3つの行動から選べば良いわけではありません。実は優先順位があり一番大切なのは、リデュースです。すぐにゴミになりそうなものはできるだけ避け、必要なものを選んで購入し大切に使うことが基本となります。少し高くても、良いものを長く使うのも昔からの知恵です。持続可能な社会・・・難しく聞こえるかもしれませんが、身近な3Rから始めてみませんか?(東京くらしweb抜粋)