消費生活センターにおける現況と課題調査! | 一般社団法人 日本医療・美容研究協会 (JMB)

 消費生活相談の現場では様々な相談者に日々対応し、相談者が抱えている消費者トラブルについて聞き取り事業者と相談者の間に立って助言やあっせんなどを行っていますが、中には相談員に対し攻撃的な態度をとる相談者や一方的に話し続けて相談員の話を聞かないなど、円滑なコミュニケーションが取れず相談員が相談対応に困難を感じるケースがみられます。

 このようないわゆる対応困難者への対応は、消費生活相談業務の遂行において大きな支障となっていると考えられます。そこで消費生活センターなどにおける対応困難者の相談対応について①消費生活センターなどを対象としたアンケート調査 ②消費生活センターなどで勤務したことのある消費生活相談員を対象としたアンケート調査を実施し、対応困難者への対応に関する現状などを調査し報告書をまとめました。

 

 【調査結果のポイント】

 本調査では対応困難者について消費生活センターなどで実施している消費生活相談において、相談員により適切な相談対応を行っているにも関わらず、社会通念から逸脱するような主張や要求を止めようとしない相談者、また自らの要求がとおらないことに対する怒りを相談員や消費生活センターに向け、相談の継続が困難である相談者と定義しています。なお、同党の内容を指す用語としてカスタマーハラスメントがありますが、本調査において対応困難とされる行為の範囲はカスタマーハラスメントよりも広くなっています。

 <消費生活センターなどを対象としたアンケート調査>

 *対応困難者の相談件数について、1ヶ月平均で5件未満と回答したセンターが全体の8割。

 *対応困難者は過剰要求や無理な対応を強要するタイプ、長時間あるいは執拗な主張を続けるタイプが多い。

 *対応困難者の対応において困難を感じる点は、相談員や職員の時間が取られ本来業務ができなくなること、相談者がエスカレートしないよう気を使って対応する必要がある。

 *国や自治体などに対して希望する対応策として7割のセンターが、対応困難者の対応を拒否できる明確な基準やガイドラインの策定。

 *センターの役割や業務内容を理解していない住民に対して、正しい理解と適切な利用のための啓発活動を望む回答も多く見られた。

 

 <消費生活相談員を対象としたアンケート調査>

 *約9割の回答者が、対応困難者の相談件数は1ヶ月あたり平均で5件未満と回答。

 *回答者のほとんどが対応困難者の対応を経験しており、また自身が相談員として勤務を始めた頃と比べ、対応困難者からの相談が増えていると感じていた。

 *9割以上の回答者が、対応困難者の対応にストレスを感じている。

 *辛いことして、多くの回答者が「一方的な主張に終始コミュニケーションが取れなかった」こと「長時間・長期間にわたって相談を終了できなかった」こと。また、発言の揚げ足を取られること・詰問や暴言・大声で怒鳴るなどの言葉による攻撃的な行為を挙げていた。

 *対応方法として、消費生活相談として対応できる範囲を見極める・冷静な態度を心掛ける・言葉遣いに気を付けるとの回答が多く、これらは対応困難者に対して効果的だと感じた方法をしても同様に挙げられていました。

 *対応困難者への対応に関して、回答者が国や自治体などに希望することとして最も多かったのは、職員の理解・連携協力・組織対応を求めるものでした。

 

 【課題と今後期待されること】

 *調査の結果、対応困難者への対応においては、対策マニュアルの活用・統一的なルールや基準の策定・安全な執務環境の整備・専門家との連携体制の整備・メンタルケアの取組・研修の実施などについて様々な課題があることが分かりました。

 *今後期待されることとして、自治体に対してはセンター内における職員と相談員の連携協力の推進/対応ルールアマニュアルの作成・活用・安全な執務環境の整備/弁護士や心理職などの専門家との連携体制の構築が望まれます。

 *国に対しては、全国的な判断基準やルールの策定や研修の実施などが望まれます。

 *国や自治体において、HP・広報誌・案内チラシなどでセンターの業務内容や役割などについて、より一層周知広報すること、消費者教育や啓発について引き続き行っていくことが望まれます。(国民生活センター抜粋)