ヤリスはGRヤリスになれるのか?(NCB-8のお話) | JL7KHN/ミヤギKI529のブログ

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飛んでけ しょぼ波 どこまでも~

タイトルは車になってますが、無線のお話です。車の話と思われた方は、ブラウザ戻るボタンをお薦めします。(車ネタの方が本職だったりしなくもないですが…)

 
 
■ヤリスとGRヤリス
車が好きな方はチェックされてると思いますが、リリースされたばかりの車です。この2台、早速乗ってみましたが、同じヤリスやれど走りは全く違い、GRに至ってはトヨタらしく無いすっ飛んだ車になってます。
乗って面白いのは当然GR。ラリーベース車両として作られていて、エンジン、ミッション、ブレーキ、サスペンション、フレーム…実に全然別物。プラットフォームはフロントはヤリスと同じですが、リアはカローラ系とある意味ハイブリッド。リアトレッドだって86よりもワイド。
随所が専用設計になり過ぎて、普通のヤリスを改造してもGRにはなれない関係になってます。
そう言う意味では、GRのお値段は格安なのかも…です。
(トヨタwebサイトより)
 
 
■ICB-87RをGRに近づける事は出来るのか?
87Rと言えばハンディタイプのフラッグシップとも言える機種で、感度も良く、変調は680に譲るも悪くはありません。
これを改造してさらなる性能向上が出来るのか?
と、良く考えます。要はGRに近づけたいと。
 
例えば、変調。パワーは500mw上限ですが、680の方が良く飛ぶと感じている方は多いと思います。
実際、相手の受信音として伝わるのは搬送波では無く変調信号電力です。変調電力自体は680の方が高い為、680はアンテナ長が短くとも良く飛んでいく事になります。
如何に変調度を高めるか?が攻めどころだったりします。
 
(変調信号電力実測例)
【ある無線機】 最大変調度48% 搬送波出力:500mW ・・・・変調信号高周波電力:28mW
【ICB-680】 最大変調度100%以上 搬送波出力:510mW ・・・・変調信号高周波電力:184mW
入力ミスではありません。これだけ違いが出てしまいます。
ある技適改造機は、信号強度は強いけど聞き取れないのは、この違いによるものと思われます。
ちなみに、この差(8dB)を埋めようとすると、87RのSメーターで言えば3つ以上上げる必要があります。
 
 
■チューニングのネガ
NCB-8の様にベースの設計を新規では無く、改造で対応しようとすると、限界は結構手前になってきますが、それでもチャレンジをしてみました。
特に部品は昔のモノをしっかり使い切りたいのですが、その時とても気を使うのが劣化に関わる所。壊れてしまっても新しい部品が入手不可になっています。部品に無理はさせない為に、実際に熱測定もしながら決定しています。
 
↓簡易測定だが、ある事をすると冬場でも87Rの半導体表面温度は短時間でもここまで上昇する。
 当然Tjはもっと高い。こんな状態で使っている方も実は結構いるのかも・・・。
 
 
もちろん、ある意味ガバガバだったマージンを削る事もしますので、温度を振ったソークテストや強電界テスト、ハイインピーダンステスト等など、結構ガチなテストもやってます。
そこまでやる必要あるのか?とも思わなくも無かったのですが、4半世紀以上経った民生部品は甘く見ちゃいけないと言うのが結論、とても勉強になりました。
 
↓温度は2℃刻みでテスト
 
それでも実践では色々な条件が複合となり、問題が起きる事もあります。いわゆるピーキーってやつです。それがマージンを削るリスクでもあります。
 
 
■完璧はあり得ない。でも落としどころはある
大部分の個体は問題無く、協力してくれてる皆さんは色んな所で、色んなテストをし、事細かに教えてもらっています。
確かに私らにとっては「そんな使い方あんの?!」と言うのもありました。それも死ぬほど勉強になり、想定外を無くす為の新たなテスト項目ノウハウとして追加されています。
ただ全てが順調に行くワケでも無く、残念ながら品質トラブルゼロには出来なかったNCB-8。
トラブルを出してしまった方には、大変申し訳無いですがお付き合いを頂いている所です。
 
今回改めて感じたのは、
・測定機だけ見ていても良いものは作れない
・1人でやっていても単なる自己満足
と言う事。
とにかく協力者がいると圧倒的に改良が進むのは間違いないです。
 
 
ヤリスを改造してもGRにはなれません。それと同じで87Rを改造してもGR87Rにはなれません。それでも色んな方を巻き込みながらもGRに近づけ、所有者なりのGRにする事はできるのでは?と思ってます。