ポーダブルCB機向けの切り替え回路、基礎実験 | JL7KHN/ミヤギKI529のブログ

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飛んでけ しょぼ波 どこまでも~

■少しずつ再開

最近はもっぱらICB-87Rの多機能型技適化に時間を割いています。とは言っても、実際は7-8割は修理と点検。

87R自体はかなり新しい部類でも、特性悪化や故障をしています。逆に心配される事の多い電解コンはほとんどがOKだったりします。”思い込みは禁物”なんでしょうね。

さて、そんな87Rの技適化もかなり終盤に近づいて来ました。”今年の年末年始は静かに過ごす”というのもあり、そんな年末へ向けて一旦横においていたポーダブル機の技適化も再開しようかと思っています。

 

 

■高周波切り替え回路

ICB-770もかなりの方が技適化に成功される様になってきました。昭和の名機達の命が繋がったのは、大変喜ばしいです。

そんな770ですが、外部PTT化をすることが多いかと思います。その場合は、元々本体についていたPTTの機械式スイッチを電気式に変更する必要があります。大抵はメカ式のリレーへ変更されている場合が多い様に見受けられますが、圧倒的オススメは”(リレー以外の)ダイオードスイッチ”です。無論、リレーとは違い、圧倒的に故障率が下がります。特に自分のリグでは無いので、トラブルフリーにするのも目的の一つです。

 

では実際に使うダイオードについてです。

アマで自作をされる方はMI301等を使われる方が多いと思いますが、この品種もほぼ終息品で入手ができません。技適化をする時に気をつけなければいけないのは、”息の長い部品を選ぶ”事がとても重要になります。そこで、一般に入手しやすい部品で代替する事を前提に、基礎実験をしてみました。

 

 

■1SS277

この品番は秋月電子通商でも入手可能で、とても安価です。私が技適化を引き受ける時は、息の長い部品で有ることの他、安価で有ることも重視しています。「高ければ良い」とは限らないってわけです。

その条件に合う部品として選んだのがこちらになります。

有名なMI301と比較すればPdが小さいのですが、容量も小さく、アイソレーションも良好です。

RFインピーダンスは0.5Ω程度なので結構いけそうですが、実際にどれくらいの電力に耐えられるか?実験をしてみる事にしてみます。

目標スペックは、0.5W AMのピーク電力2W以上、出来れば5W@常温 程度に耐えられれば十分と思っています。

 

↓実験基板。IF absoluteは100mAですが、電池駆動が前提なのでIFは20mA程度にした

 

■実際にぶっこんでみた

という事で、実際にやってみました。

 

↓簡単にするため、RFソースはIC-705を使った

↓目標2Wは楽にクリア

↓インサーションロスは-0.11dB@28MHz。

 下がびよーんなのは、CALをスルーしかしていない のもあると思われる。

 

思いの外あっさりクリアできたので、ダイオードをパラレルにしてみました。

↓8W程度もクリア。もう十分。ただし、歪みは別途確認が必要。

↓FM連続送信5分における部品表面温度上昇は15℃程度。 真夏の炎天下でも許容範囲。

↓インサーションロスは-0.79dB。IFをもっと増やせば更に改善出来ると思われる。

 

 

■CBにオススメの切り替え回路は?

思ったよりも耐電力があることがわかりました。0.5WのCBには十分な耐力です。

ではこれをさらに最適に使おうとしたときの回路ですが、単純に送受信切替にするにはダイオードAND回路で接続したくなります。しかしながらその回路構成の場合は、送受信どちらのときにもダイオードに流すIFが必要になってしまい、結果として消費電流が増えるのでナンセンスです。それでは折角メカ式リレーを使わなかったメリットが一つ無くなってしまいます。

そこで私が実際に使う回路は、送信時のみダイオードにIFを流せば良い回路構成をとります。ちょっと工夫をすることで、受信時における副次波も抑えられる機能も高周波切り替え回路に盛り込む事が出来る一石二鳥の回路です。

 

 

ちなみにこのスイッチダイオードですが、ATTとしても使えます。PINダイオードを使ったATTはリニアリティーも良く、フロントエンドのIdをコントロールするよりは素直な回路が出来上がります。