ある日特養で
義父が
「置時計の裏」
意味の分からないことを言い出しました。
しかも耳打ちされたのです。
「持っておいて欲しい」とも。
実家に寄って
義父の寝ていた部屋の中を見回しました。
テレビのすぐ横に置時計があります。
けっこう大きなものです。
残念ながら義母が捨ててしまったようで
現在は見当たりません。
時計の裏を確認すると蓋がありました。
「外してみようか」と開けて驚き。
なかにビニール袋に入れた
お金が入っていたのです。
大した額ではありません。
さりとて小遣いにしては多額。
せっせとため込んでいたようです。
目的や財源はわかりません。
ここで疑問が生じました。
義父が特養に入れた要因ですが
「認知症が酷い」というのが一つ。
しかし認知症である筈の患者が
隠したお金の場所を記憶していたのです。
「お金はあったから」
そう告げると義父は安心したようでした。
約束どおり
相続が開始するまで
お金は保管しておきました。