演技ワークショップ「EQ-LAB」の方針や理念をまとめた記事です。
受講をご検討中の方は、ぜひ参考にしてみてくださいね!!
<目次>
・潜在意識を利用した、現代の演技法
・日本の現状について
・すべての演技の土台となるもの
・理念の礎となる言葉たち
・正しい基礎とマインド、そして実践的
・安全な方法論
・ハラスメントのない、安心な学び
今日、皆さんが映画やテレビ、舞台で見ている演技の多くは、人間の潜在意識を使ったものです。
たとえば。
ブラッド・ピットやレオナルド・ディカプリオなど、ご存知のハリウッド・スターたち。
あるいは。
『ミッドナイトスワン』(2020) の演技で、一昨年の第44回日本アカデミー賞を受賞し、演技派俳優としての地位を確固たるものとした草彅剛さん。
こうした名優たちが使っている演技法は、俳優の潜在意識を使ったものです。
そして、そうした演技(リアリズム演技)を世界で始めて「演技法」として体系化したのが、ロシアのコンスタンチン・スタニスラフスキー (1863-1938) です。
彼の作り上げた方法論「スタニスラフスキー・システム」は、そこから世界各国へと波及し、今日の俳優たちの「演技の土台」となっています。
では、なぜ。
スタニスラフスキーは、そうした潜在意識の演技を「システム」という形で体系化する必要があったのでしょうか?
潜在意識を利用した、現代の演技法
人間の潜在意識とは、非常に手に負えないものです。
たとえば、あなたの身に嫌なことが降りかかった時、思考ではそれを「忘れよう」としているのに、忘れられない。
いくらアタマで「頑張ろう!」と思っても、心が言うことを聞いてくれず、やる気が起きない。
「楽しもう!」と思っても、楽しい感情が湧いてこない。
これが潜在意識の仕業であり、いくら思考で「なんとかしよう」と思っても、潜在意識=心・感情はなかなか言うことを聞いてくれないのです。
つまり。
感情に溢れ、心が通った演技をするためには、この厄介な潜在意識を手なづけ、コントロールする必要があるのです。
スタニスラフスキー・システムや、それを土台とした現代の演技は。
この、厄介でワガママな潜在意識をコントロールする方法であり。
だからこそ、そこには特殊な「方程式」が必要なのです。
それを、世界で初めて方法論としてまとめ上げることに成功したのが、スタニスラフスキーという人だったわけですね。
日本の現状について
残念なことに、日本では、俳優が「演技を学ぶ」という習慣があまり根付いていません。
演技は誰にも教わらず、自己流や現場経験だけという俳優や、専門学校や養成所で2年間くらい学んだだけ、監督のワークショップにちょっと行ったことがあるだけ、という程度の方が非常に多いのが現状です。
しかし、考えてみてください。
バレエダンサーを目指すには、自己流や、短期的な訓練では到底足りませんよね。
演技もそれと同じで、習得するには、専門のコーチによる入念な指導と地道なレッスンが不可欠です。
こうした状況の背後には、日本の演劇業界や俳優教育の混乱状態があります。
海外からの方法論を、なんでもかんでも無批判に取り入れてしまうことや、各劇団内で独自に開発された方法論やスタイルが乱立していること、そしてそれらを誰もまとめないままに、ゴチャ混ぜな状態で放置されていることによる混乱です。
さらには、歌舞伎など日本旧来の演劇の影響もあり、さらに混迷を極めています。
このような状態の中で、俳優だけでなく、養成所や講師たちも、一体何を支えにして教えたら良いのかがわからなくなっています。
すべての演技の土台となるもの
演技ワークショップ "EQ-LAB" では。
スタニスラフスキー・システムを基軸とし、さらにそれがアメリカに渡って発展した演技法をお伝えしています。
ここまで書いてきたような、現代の世界標準の演技……潜在意識を利用した演技であり、今日を生きる俳優にとって、あらゆる演技法や演劇スタイルの総合的な土台となるものです。
また、演技訓練は身体だけでなく、心や感情を使うものです。
適切な指導のもとでないと、危険(精神を傷つけるなど)が伴うものでもあります。
EQ-LAB は、安全性にもしっかりと配慮し、初心者からベテランまで受講できる内容にしています。
世界の名優たちの演技を学びたい、演技の本質を手に入れたいという熱意あふれる皆さまのご参加を、心よりお待ちしています!!
理念の礎となる言葉たち
演技ワークショップ "EQ-LAB" の理念の礎となる、先人たちの言葉をご紹介します。
今日の世界標準になっている演技法を創り上げた、ロシアの俳優兼演出家コンスタンチン・スタニスラフスキーの言葉。
僕はこの言葉で、演技への考え方が大きく変わりました。
「演技を『演じない』って、どういうこと??」
最初は誰でもそう思うでしょうけれど、役の人生を本当に生きるためには、これは基本中の基本となる考え方です。
まずは、この「演じない」をマスターすることが、すべての技術力の土台となります。
もう一つ、スタニスラフスキーの言葉。
「私の役は小さいから」と言って、役作りをおろそかにするなかれ。
一言しかセリフのない役だって、その人物なりの豊かなバックグラウンドがあり。
俳優は、その「個」にきちんとフォーカスして、どんな役でもその人生をしっかり理解しようとすることが非常に大切なのです。
そのような役でもきっちり作り込める技術力を手に入れることは、俳優としての実力にも繋がります。
また、こうした考え方を持つことで、役の大小(セリフや出番が多いか、少ないか)で他人と比較したり、凹まなくても済むようになります。
アメリカの演技教師、サンフォード・マイズナーが生徒たちに伝えていたこの言葉は、彼の演技メソッドに限らず、リアリズム演劇すべてにおいて共通することです。
「行動のリアリティー」。
それはなにも、ただ "自然に振る舞う" というようなカタチの話ではありません。
シェイクスピア劇の詩的なセリフであっても、リアルに演じることは可能なのです。
大切なのは、その行動(演技)の一つ一つが「リアル」であるかどうか。
俳優自身が、スタニスラフスキーの言葉の通り「演じず」に、本当(リアル)にそれを実行できているかどうか。
そこから生まれる感覚は、本物(リアル)か?
EQ-LAB では、この「演技の基礎」からしっかり理解し、学んでいただきます。
これは、イギリスの演出家ピーター・ブルックによる有名な言葉です。
多くの言語圏で、「演劇」を指す言葉と「遊び」という言葉が同一なのは偶然ではない、と彼は指摘しています。
皆さんは、俳優修行や活動の中で、演劇を「遊び」だと思えているでしょうか?
心から自由に遊べていますか?
こうしたアーティストとしてのマインドを育成することも、EQ-LABの大切な理念です。
どうしたら、演劇を遊べるようになるか。
きちんと学べば、その楽しさ、自由さを手に入れることができます。
こちらも、ピーター・ブルックの言葉。
「"もしも" あなたが●●な人物で、●●な状況に置かれたとしたら?」
その時、人は何を思い、どう反応するのでしょう?
演劇は、そこから始まります。
そして観客は、そんな「もしも」という実験の結果を目撃したいから、劇場に足を運びます。
演劇においての「もしも」の目的は、観客や先生に気に入られることでも、上手に演じて褒められることでもありません。
演劇とは、何かを知っていくための「実験」。
だからこそ、失敗を恐れる必要なんてないのです。
正しい基礎とマインド、そして実践的
俳優でご活躍されている方や、勉強中の方は、上の言葉のうちのいくつのことを実行し、体現できているでしょうか?
これから演技の道へ飛び込もうとしている初心者の方は、新たな世界にワクワクされたかもしれませんね。
こうした言葉や信念に基づき、「演技とは、何か?」をしっかり理解していただくこと。
学ぶ順序を間違えず、基礎(土台)からしっかり固めてゆくこと。
俳優としての豊かで正しいマインドを手に入れ、確かな技術力を育てること。
それが、僕がこのワークショップで皆さんに提案するクラスであり、そこから「役を生きる楽しさ、喜び」を手に入れていただけたらと願っています。
また、ここでお伝えするのは、これまで僕自身が実際に1,000ステージ以上の舞台やその他の現場に立ちながら実践し、かつ演劇教育の最前線で実験を繰り返しながらトライアンドエラーを重ね築き上げた演技法でもあります。
決して机上の理論ではありません。
海外由来の演技法というものは、その国ごとの環境や文化、演劇の考え方などが大きく違うため、日本ではあまり実践的でない場合も多いです。
その部分については、私自身が日本の演劇業界での経験則を踏まえた、より実践的で現実的なものとしてお伝えしているので、自信を持ってご提供できる内容となっています。
安全な方法論
一部の演技メソッドでは、俳優の精神を傷つける可能性が高い手法が取られています。
危険な方法の例としては、
▶︎レペテーションを用い、相手を罵ったり、激しい感情を引き出そうとする
▶︎俳優に、過去のトラウマを思い出させる
といったものがあります。
EQ-LAB では、そうした危険性のある方法は使用しません。
レペテーションの技術は用いますが、言葉は台本上の決められたセリフに限定することで、相手を傷つけるような発言には触れません。
そこから激しい感情を直接的・強制的に引き出すこともありません。
また、演技はすべて、俳優の豊かな想像力を使います。
想像力による演技は、決して俳優自身の心を傷つけることはありませんし、テイクが終わればすぐに役から抜け出すことができます。
ハラスメントのない、安心な学び
アクティング・コーチの仕事を務めるに当たり、ACG(Acting Coach Guild of Japan)の会員に加盟しています。
ACGは、「俳優たちがいつでも楽しく学び、夢の実現に向けてその可能性を追求するために、最善を尽くすことをお約束」するアクティング・コーチの団体です。
ACGでは「ハラスメント防止ガイドライン」が設定されております。
会員はハラスメント行為を決して行わないことを誓い、ガイドラインの内容を遵守しています。
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