短期ワークショップ「こんなに役立つ!! ホントの『エチュード』」
無事に終了いたしました。
ご参加くださった皆様、
ありがとうございました!!
(「エチュード」の最新クラスは、こちら👆)
当日。
まず “序章” として最初に実施したのは、あえての「よくあるエチュード」。
いくつかの状況(ここはどこか、自分は何をしにここに来たのか、など)を決め、テーブルと椅子をセッティングして、スタート!!
結果は……
よくある通り、ちょっとワイワイ、まぁまぁ楽しい……でもなんか腑に落ちない、煮え切らない感じ。
ほんとに、ある意味無事に(笑)、よくある結果にちゃんと落ち着いてくれました。
各チーム、大体7〜10分程度ほど。
そして、終わった時の皆さんは、苦笑い(笑笑)
なぜ、最初に「よくあるエチュード」をやっていただいたのかと言うと。
今日1日のワークショップを通して、みなさんがどれだけ変われたかを実感していただくため。
つまり、「使用前」と「使用後」を比較していただくために、あらためて「使用前」のデータを取っておきたかったんです。
(受講生の皆さんにも、ちゃんと趣旨をご説明してから実施しています)
▲使用前のイメージ(苦笑)
……さぁ。
そして始まった、ワークショップ本編。
まず、スタニスラフスキーが実際にエチュードの訓練で用いた “状況” を使い、
「エチュードとは、なんのための訓練か?」
をじっくり解説。
そこからゆっくり、実践へ……。
きちんと手順を追っていくと、エチュードの「原型」が見えてきます。
しかし、この時点での実施時間は、なんと10秒程度で終了!!
(※チームにより変動)
必要最低限の状況で、アタマを一切使わずに、無理なく一歩ずつ。
ここで乱暴に、無理して長く進めてはいけません!!
さてさて。
それをクリアしたら、状況を少しずつ足していく……。
ただ闇雲に、乱暴に状況を足すのではなく、
「リアリティーに基づいたら、ここにどんな状況が同時に存在するだろうか?」
「どんな状況が追加で必要だろうか」
を見極めて、少しずつ。
すると。
先ほどは10秒で終わっていたエチュードが、徐々に、20秒、30秒、40秒と長くなっていく。
1対1でスタートした会話が、3人のシーンへと世界が広がってゆく。
やがて、1分を越えても、アタマを使わず、その瞬間に没頭できるようになり。
舞台上の人数が、さらに増えてゆく。
(今回の場合、最大5人)
そして、物語が一つの「展開」を見せ始める……
こんなふうに、丁寧に進めていくと。
“序章” でやった「よくあるエチュード」が、いかにアタマを捻りながら、必死に展開させようとしていたか。
その感覚がいかに「嘘」にまみれていたのかが分かってくる。
必死に10分間かけて展開に展開を重ねたエチュードよりも、たった1分、大きな展開は1つだけというこちらのテイクの方が、見ていてもいかにリアルで感情的で面白いか、見る人をも夢中にさせるか、というのを、ひしひしと実感できる。
嘘のない、「本当」の瞬間の連続。
こうして、受講生の皆さんが、「使用前」の状態から離れ始める……!!
やがて、自転車の運転のように、一度その感覚を掴むと、一人一人の中でその感覚は自走し始める。
そうやって、演技は上達してゆく……。
そしていよいよ、台本を使ったエチュードへ。
使用した課題は、菅田将暉さん、有村架純さん主演映画「花束みたいな恋をした」のワンシーン。
(ただし、受講生に「映画は見なくていいですよ」とお伝えしていた通り、映画の中の「ワンシーン」だけを抜粋して実施。)
あえて事前の配布はせず。
当日、その場で台本をお配りし、初見でたった一度だけ読んでいただいたら、台本を置いて、すぐにエチュードへ。
じっくり、じっくり、いくつかの手順を踏んだ後、いよいよ、時間無制限のエチュード、開始!!
……そして。
奇跡の時間が訪れるのです!!
実際には5、6分程度のシーンですが、15分以上の即興演技が成立してくる。
そこにいるのは、「アタマを捻りながら役を一生懸命演じている俳優」ではなく、「まんま、その人の姿」。
それが、自分の言葉で会話をはじめ、何一つ無理をすることなく、まるで日常の現実の景色を切り取ったかのように、時間が流れ出す。
時に、怒鳴り合いになったり。
心が寄り添ったり。
静かに目線を交わしたり。
役と自分の間に境界線がない時間が、15分以上もずーっと続いている。
さらに、ここから。
今日初めて手にした台本の着地点に、自然と向かい始めるのです……。
思い返してみれば。
最初の「よくあるエチュード」では、俳優はずっと「役を演じている感覚」の中にあり。
結果的に、俳優自身と役の間には「演じる」という境界線が横たわり、二人を分断してた。
でも、今は。
最初から最後まで、俳優と役という “二人” いるはずの存在が、“一人” に統合されている。
俳優が、役を「本当に生きる」。
それが、予定調和のセリフではなく。
決め事のない自由な時間の中で、15分間もずっと、俳優と役がひとつになっている。
すごい時間でした。
舞台上には、ワークショップに参加している2人の受講生がいるはずなのに。
同時に、どこか違う次元から切り取られてきた、誰か知らない2人の会話が、本当にそこにある。
あの「使用前」から、そんな「使用後」が生まれました。
実際にそれを演じていた受講生の方は、翌日、こんなご連絡をくださいました。
「本当に楽しくて楽しくて、今でも興奮が冷めやらぬほどです。もっとお芝居がしたくなりました!!」
でも、その方。
この日の最初の段階では、こんなことを言っていたんですよ。
「エチュードって、なんか『怖い』っていうイメージがある……」
実は、今回。
募集してくださる方の数が、いつもに比べて、本当に少なかったんです。
(参加者は、6名でした)
その理由は。
「エチュード」という内容に、多くの方が「警戒」されたり「怖い」と思われて、参加を見送られたのではないかな、と感じています。
……確かに。
僕も自分だったら、よほどよく知ったコーチのクラスならまだしも、そうでなければ、「エチュード」なんてわざわざ参加しようと思わないかもしれない……。
これはつまり。
いかに、一般的に実施されているエチュードが、俳優に負担をかけているかの証拠だと感じます。
負担をかけ、怖がらせ、アタマを使わせ、それでいて満足度の低い訓練になってしまっているか。
しかも。
その訓練が、あまり役に立たない、あるいはどこか変な、違和感のある訓練法であると、多くの方が心のどこかで気づいてる。
それが、募集の段階での皆様からの反応で示されたと思うのです。
これは、非常に残念なことです。
今もなお、多くの養成所のカリキュラムとして。
劇団の訓練メニューとして。
エチュードは実施され続けていると思います。
それが、単なる「これは昔からある訓練法だから」という理由だけで、中身の意味を精査しないでやってしまっていませんか。
だとしたら、もう一度、考え直してください。
今回。
「役を本当に生きる」ことを求めて、でもどこか自分の演技が納得できなくて、一生懸命努力を重ねている6名の俳優の方々が集まって。
本当に素晴らしい時間を体験してくださいました。
そして、百聞は一見に如かず。
一度、そうした体験ができた俳優は。
それを感覚で理解するため、ゴールが見える。
だから、そこからの技術習得は圧倒的に早くなるんです。
演技の訓練は、正しく、大切に実施しましょう。
そうすれば、その一つ一つがあなたの貴重な宝物になるのです。
もし今後も、エチュードの第2回を開催する時には(今のところ、予定はないのですが)。
今回、参加を見合わせた方がいらしたとしたら、ぜひいらしてくださいね。
俳優が求める「最高の体験」が、花開いていました。
さて。
演技ワークショップ「EQ-LAB」では、以下のクラスの開催を予定しております。
まずは、3ヶ月ワークショップ:ベーシック クラス👇
それから、先月開講してご好評をいただきました「台本読解塾」の第2回。
さらに、2月中旬から3月いっぱいまでの1.5ヶ月で、作品1本を通しての役作りを学んでいただく特別クラスもご用意。
こちら、まもなく詳細をアップしますので、お待ちください!!
※募集は終了いたしました。ありがとうございました!
役を「本当に生きる」ために
▼演技講座を配信中【演技向上チャンネル】
▼人気ミュージカル作品を徹底解説【ミュージカル探偵社】