僕がワークショップでお伝えしている方法論は、今日の世界標準となっている演技法スタニスラフスキー・システムと、それがアメリカに渡ってさらなる進化を遂げたメソッド演技法に基づいています。
「スタニスラフスキー・システム」
コンスタンチン・スタニスラフスキー
(1863年 - 1938年)
ロシア/ソ連の俳優、演出家。
今、僕らが普通に接している「演技」を、一つの体系立った方法論として確立させた、いわば "演技の父" のような存在。
俳優の演技を正当化するための【内的な動機(葛藤)】や【目的】【障害】、また、【与えられた状況】【magic if(魔法の ”もしも")】【課題】【超目標】【身体的行動】といった、演技を身につけるために欠かすことのできない考え方や方法論を作り上げました。
彼が体系化した演技法をスタニスラフスキー・システムと呼び、現代の演技法の世界標準、その礎となっています。
スタニスラフスキー・システムとは、それまでの「カタチで表現する演技」とは一線を画した「人間の内面を重視し、よりリアルに演じることができる方法論」です。
つまり、俳優が役の人生を「フリ」で演じていた従来の方法に対し、スタニスラフスキーは「役の人生を俳優が追体験」できるレベルにまで演技法を昇華させました。
フロイト心理学の影響を強く受けており、人間の無意識・潜在意識を使った創造的な演技法であるのが特徴です。
「メソッド演技法」
サンフォード・マイズナー
(1905年 - 1997年)
アメリカの俳優、演出家、演技教師。
スタニスラフスキー・システムがアメリカへと輸入され、特に映画産業の中でメソッド演技法として発展させた創始者の一人(ほかの創始者に、リー・ストラスバーグやステラ・アドラー)。
マイズナーの方法論は、演技の瞬間における "行動のリアリティー" とその具体性を非常に重視し、より本能的で潜在意識を利用した演技法を確立させ、その結果、「真実に、自然に、そして感情的に信じられるものを創造すこと」を可能にしました。
その基礎訓練として有名なのが、近年、日本でもさまざまな演劇学校や俳優養成所でも実施されているレペテーションという訓練法です。
【マイズナーの言葉】
・全ては具体的であれ
・1オンスの行動は1ポンドの言葉に値する
・行動のリアリティーの重要性
・すべての良い演技は衝動から生まれるもので、その中には頭の働きなどない
・MOMENT to MOMENT(瞬間から瞬間)を生きる
・演技とは想像上の世界で真実に生きる事である
・演技とは行動することである
【マイズナーの生徒たち】
<俳優>
<映画監督>
<劇作家>
メソッド演技法といえば、以前はリー・ストラスバーグによる「アクターズ・メソッド」が主流でしたが、近年ではレペテーションを基礎としたマイズナーの方法論が日本の演劇学校や養成所でもよく見かけられるようになっています。
なお、ストラスバーグとマイズナーは同じグループ・シアターという劇団のメンバーで、共に団体の創始者でしたが、「感情は記憶・再現できるかどうか?」という議論の中で分裂する結果になりました。
(「記憶・再現できる」と主張したストラスバーグに対し、マイズナーやアドラーはその記憶・再現性を否定しました。現在でも、ストラスバーグのアクターズ・メソッドの主軸は「センス・メモリー(感情の記憶)」という訓練法であるのに対し、マイズナーのメソッドは、それを用いません。)
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