「そんなことないよ。」
TAKAがはっとしてあわてて言った。
「もともと乱人のバンドが有名で、俺のLのメジャーデビューの話がぽしゃって、それで一緒にやったんだ。乱人君の名前がなかったら動員はあんなになかった。」
乱人君はおじさんになってもそういう風に言ってくれるTAKAがなんとなくうれしかった。
「シングルとか共作したろ?」
TAKAがムキになって言った。
ムキになって励ましてくれる風なのが、なぜか変にうれしかった。
「いや、真帆さんは男を見る目があるんだよ。あんなに石ころみたいにいる中から原石を見つけられる。」
「男にだらしないだけだろう。」
「TAKAちゃん、昔処女だった・・とかのろけてたよね。」
「ははは・・・。どこの処女だかしらないが今じゃ下品なレディースコミックで亭主の下ネタ漫画描いてるけどね。」
TAKAが寂しそうに笑った。
「B・Bで音楽的に高かったのは俺と乱人だけだと思う。」
TAKAがきっぱり言った。
「俺は曲は描けたがベースは下手くそだった。乱人は曲も書けたし、ギターも上手いし、品がよくて女の子にうける顔をしていた。この人がいないと自分はダメだと思った。」
それから小声で「KENちゃんのことは友達として好きだった・・・。でもどうしても俺は売れたかった。KENちゃんがアル中になった時自分は実はほっとした・・。」と言った。
それから遠い目で合成樹脂枠に囲まれた昔の自分のポスターを見ながら
「それで真琴を入れたんだ。いい大義名分ができた。KENちゃんを首にできた。」とつぶやいた。
乱人君は何も言えなかった。
「真琴のおかげで売れた。KENちゃんには悪かったなぁ・・と思った。」