乱人君が電気ストーブを全開にした。
量販店で買った安物だったが新しくて銀色にピカピカ光っていた。
80年代のお化粧バンド時代のポスターは合成樹脂の水色の枠にはまって額縁に入っていた。
乱人君の暮らしぶりはバンド時代と特に変わらなかった。
変わったのはTAKAだけだった。
乱人君がイチゴ大福をTAKAに勧めた。
「あ、ありがとう。イチゴだー。大きいイチゴだー。」
TAKAが子供っぽくふざけた調子で食べながら言った。
乱人君は急に自分の人生が寂しくなった。
「TAKAちゃん。TAKAちゃんはイチゴ大福のイチゴなんだよ。メジャーデビューができたのはTAKAちゃんっていうイチゴがいたからだと思う。」
乱人君が昔を思い出しながらゆっくりとした口調で言った。
そして売れないころのそのイチゴにしゃぶりついたのがグルーピー時代の真帆だった。
その後2人は夫婦になったが、その夫婦喧嘩さえも今は金になるらしい・・・・。
「俺なんか喧嘩のネタになるような女も子供も金もなにもないよ。」
乱人君が寂しそうに笑った。