夏の終わりにKENちゃんはお見合いをした。
B・Bの同窓会に取り残されたような自分に、音楽業界も音楽活動も・・もう未練がなかった。
その後お見合い相手の雅子さんと「結婚を前提としたおつきあい」をすることになった。
今となっては、まともな女ならだれでもよかった。
KENちゃんは雅子さんと話しているとほっとした。
夏の終わりの風鈴が外で鳴っていた。
台所に、何もなかった19歳の真帆がKENちゃんと一緒にした温泉旅行で買ったお土産の布巾がかかっていた。
雅子さんがこの家に嫁いだら・・・
真帆のこの布巾を使うのかな・・・とKENちゃんはふと思った。
昔「髪の毛黒くなって切って、普通のおじさんになっても好きだからね。」と言ってくれた真帆は、どこか
遠くに吸いこまれるようにして消えてしまったような気がした。