碧いラフレシアの花 その760 | 連載性春小説  碧いラフレシアの花

連載性春小説  碧いラフレシアの花

好きじゃない人と天国へ行くよりは


好きな人と地獄に行きたい


ある女の子の80年代


真帆が30のおばさんになったという事実がKENちゃんには信じられなかった。



KENちゃんはふと自分のボロイアパートを見回した。


多分自分は一生ここを出れない。


KENちゃんにははっきりと分かった。


中村さんは20年近く同じアパートに住んでいた。

世間の賞賛も結婚も

全てかなぐり捨てて

中村さんは仙人のように暮らしていた。


最近の中村さんは精神世界に入っていっていた。


バブルに置いていかれた人間は


何か違う物を見つけないとやっていけないのだろう。



KENちゃんは中村さんのようにはなれなかった。





中村さんの音楽もだんだん時代遅れになってきて

KENちゃんはひしひしと自分がインディー落ちするのを感じていた。


多分あのアメリカツアーがキャリアのピークなのだろう。



最近の中村さんは天然酵母のパン作りに凝っていって

インドに行きたいとまでぼやくようになった。







KENちゃんは社会に無視される孤独さに叫びだしそうになった。






25歳の時、真帆を捨てるべきではなかった。




真帆なら自分が貧乏でも

ずっと少女漫画を描いて食べさせてくれる

優しい子だったのに。