TAKAが焼肉を食べた後同じ道を通って駅に向かった。
そこにもうKENちゃんの姿はなかった。
TAKAは帰りの電車の中で昔の事を思い出した。
KENちゃんは自分の妻真帆が3年間同棲した男だった。
最初真帆はグルーピー上がりの自分の女だったが、真帆がアパレル会社のおっさんと浮気したので、メジャーデビューの次の日に捨てるという制裁を加えてみた。
それでも自分は真帆が好きだったのだろう。
真帆には気が弱いところがあるので何となく不安になり、バンドメンバーのKENちゃんに様子を見てくるように頼んだ。話が面倒くさくなるからKENちゃんには、真帆には手を出さないでね・・と念を押したのに、しっかりホテルにKENちゃんは真帆を連れ込んで、くだらない様子の見方をしてきた。
ハイハイと適当に調子を合わせて、嘘八百でフェアなプレイをしないKENちゃんにかなり腹が立った。
次に付き合った女が気が強くてたまらなかったので、もう一度真帆とよりを戻そうと自分から連絡を取った事をTAKAは思い出した。
ああいういっぱいいる女の子の中からかなり執着していたので、自分なりに真帆には惚れていたのではないかと今更ながらTAKAは思った。
真帆に復縁しようと電話した日の事をTAKAはありありと思い出した。あれは10年前だった。
「あ・・、俺。」TAKAがむっとした感じで言った。
「KENちゃん・・?」
「違う、昔の男のTAKAちゃん。」
「うわ・・・、何で?どうしたの?」
「いや・・・、どうしてこんな事になってるのかな・・・?と思って。聞きたいこととかあるし・・。」
「あ・・・、あのね。私、今KENちゃんが本当に好きで・・。」
「え・・、俺よりも好きなの?最後に留守電でどんな事があってもずっと好き・・って言ってくれたよね・・?」
「うん、その時はそう思ったけど・・今はKENちゃんが一番好きなの。」
「お・・おい・・、元々俺のファンだったよね・・。自分は真帆とやり直したい。」
「バンドとかどうでもよくて、ただKENちゃんが好きなの。家も近所だし凄く気があうし。音楽やめて普通のおじさんになっても・・やっぱり同じようにKENちゃんが好きだと思う。今度ここ出て一緒に暮らすんだ。
ごめんね・・・。TAKA。」
「あ・・あ・・そこまで言うならもういいよ。真帆、元気でね。」
「うん、TAKAも無理しちゃダメだよ。お財布と香水使ってる?」
「うん。あんな高いのありがとう。」
「ああ、いいよ。いいよ。TAKA今までありがとう・・。」
「んじゃ、バイバイ。」TAKAが悲しそうに言った。
「TAKA・・バイバイ。」真帆もちょっと悲しそうに言った。
そうだ・・・真帆は戻らなかった。
真帆はKENちゃんが一番好きだったんだ・・・。
ふと見ると電車の車内吊り広告が目に入ってきた。
「早坂まりあ。拒食症からの復活。幸せ太り、リハビリ2段顎。沢田隆章家庭愛ひとすじ」
と書いてあった。
なんだこりゃ?女性週刊誌か・・・
そういや、真帆太ったよなー。
お母さんに揚げ物地獄やめるように言おう・・・。
体脂肪率を上げて排卵を復活されるプロジェクトで、最近の真帆のお母さんの料理は油っこかった。