KENちゃんとナンシーが付き合いだして2週間が過ぎようとしていた。
あんまりにも天真爛漫な女の子でKENちゃんはほっとした。
ナンシーは何一つ面倒くさいことは聞かなかったし、何だか子供みたいだった。
ここ10年近く色々なことがありすぎてKENちゃんはもう疲れていた。
女で疲れきっていたKENちゃんにナンシーは適役の様な気がした。
赤い地下鉄にナンシーと二人で乗っていたとき、隣に座っていたナンシーがKENちゃんの手をぎゅっと握ってきた。
KENちゃんが人目も気にせずナンシーにキスしだした。
もうKENちゃんは先がどうとか
世間がどうとか
そんなことはどうでもよくなった。
この年になって自分から失う物が何もなくなった事に気がついた。
自分のような男は多分世間一般の女から総スカンを喰らいそうな奴だと分かっていた。
ナンシーは細かい事は気にせずKENちゃんをハッピーにした。
しばらくしてこの地下鉄がTAKAが昔住んでいた青いトタンの家の方向に向かっている事に気がついた。
TAKAのあの家を10年以上前にこの地下鉄に乗って訪ねた事を思い出した。
あれからKENちゃんは年を取った。
ナンシーとキスをしながら薄目を開けて女性週刊誌の車内釣り広告を見た。
早坂まりあ 連載未完終了? 頭髪抜け落ちズルムケ骸骨状態
と書いてあった。
平日の午後の乗客もまばらな車内に西日が差してきた。