碧いラフレシアの花 その691 | 連載性春小説  碧いラフレシアの花

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好きじゃない人と天国へ行くよりは


好きな人と地獄に行きたい


ある女の子の80年代



ナンシーはファッション雑誌を見ていた。


KENちゃんがふと見ると女性週刊誌の数々のタイトルが目に飛び込んだ。



早坂まりあ 鶏ガラ状態 拒食症まっしぐら


餓死秒読み 沢田隆章 悲痛の看病 妻に声届かず





TAKAは最初に真帆の食が細くなって危うくなった時点でコンビにまで来て、KENちゃんに釘を打っていた。



TAKAは妻を良く知っていたし、本当に心配していた。


KENちゃんが記事を読んでみたところ、TAKAは一流の私立の拒食症エキスパートの病院に真帆を入院させたらしい。

浮気もしないで、真帆と真帆の母親と真帆の娘の面倒を献身的に見ていると書いてあった。

さらにTAKAは自分がプロデュースする女の子にも社長命令で手を出さず、禁欲的で家庭的な日々を送っていると書いてあった




真帆の話によると絶対に真帆とKENちゃんの不倫はばれていないと言う。






KENちゃんは「たのしい幼稚園」を取ってナンシーの籠の中に入れた。

奇妙な雑誌を取ったのでナンシーが不思議な顔をした。

「俺の息子の。頼まれてた。」



本当は今日は実家に帰って子供の面倒を見るはずだった。

それがこんなフィリピーナ買出しツアーの為にキャンセルしてしまった。


明日は朝一番で実家に帰るので、お土産用に息子に電話で頼まれていた「たの幼」を買ったのだった。



ナンシーがにっこり笑った。


真帆と息子を思い出してKENちゃんは息苦しくなった。


特に真帆に関しては最悪のシナリオ展開になったと思った。


罪悪感がどっと襲ってきた。




何故自分がこんなに女を不幸にし続けるのか分からなかった。