「もういつまでも子供じゃないんだから、何とかしろよ、お前。駄目女でもまた子供産んだら許してやる。このまま老けておばさんになったら、他の女に走りそう。」
TAKAが怒った口調で言った。
ああ子供か・・・。
また19歳の時流産して黒いポリ袋に入れて捨てた子供の事を考えた。
「子供ね・・。昔、昔、欲しかったよ。自分がもっと子供だった時に、もっと欲しかった。」
最初にTAKAと付き合った時は本当にTAKAの事は好きだった。
急に自分が10代の時の事を真帆は思い出した。
仕事が終わった後スーツのまま真帆は赤い地下鉄に乗ってTAKAに会いに行った。
その日は休み時間にトイレでつわりで吐いた。
現実がひしひしと迫っていたけれどTAKAには変わらない愛を誓っていた。
どうしてこんなに好きになれるのか良く分からなかった。
TAKAの部屋のドアをノックして開けたら相変わらず美しいTAKAがタバコを吸っていた。
TAKAは機嫌が悪そうだった。
昨日の電話と打って変わって機嫌が悪かった。
いつもの気分屋のTAKAだった。
メジャーデビューの話になった。
メンバーの仲が悪いので最初っから曲のクレジットをバンド名義にして、収入は等分という事になったそうだ。
TAKAは曲が書けるから、これは不満だった。
ゴミだらけの汚い部屋の隅にTAKAが曲を書いた譜面が散らかっていた。
何にも出来なくてわがままだけれど、こういう曲を書けたり・・・実はアーティなんだよ・・と真帆は分かっていた。
絶対にTAKAを手放したくなかった。
本当に愛していた。
私が愛したTAKAはこんな顧問弁護士や会計係がいるTAKAではなかった。
ハワイの別荘なんてもうどうでもよかった。