元旦の午後に真帆と娘とTAKAの一家四人で初詣に出かけた。
出かける前にお母さんが高い着物を着て「この着物ね、TAKAちゃんのカードで買ったの。」と嬉しそうに言った。
昔、真帆の印税をアテにして買い物しまくって、迷惑をかけられた事を思い出して真帆は不愉快になった。
お母さんはもっと素晴らしい寄生先を見つけただけで、卑しい人だと真帆は思った。
何故か幼い頃の自分を真帆は思い出した。
小さい頃部屋の隅で絵を描いていたら「あんたのお父さんみたいに金にならないことにあんまり夢中なるんじゃないよ。」とバカにされたことがあった。
真帆は自分の仕事にプライドがあったが
また自信もなかった。
お母さんの存在が息苦しかった。
自分が自分であるために
もうTAKAとお母さんのいない世界に行きたかった。
TAKAが運転する車の中で、お母さんは何故か、KENちゃんとの同棲先から引き上げた真帆が、お母さんとまた一緒に暮らし始めた6年前の正月を思い出した。
22歳の時の真帆が母親とおせちを食べて、TVを見た。
それからちょっと原稿を描いた。
夜になってTAKAから電話があった。
最初に電話を取ったのは真帆の母親だった。
真帆の母親は真帆と暮らして真帆に養って貰いたかった。
辛い給食場の仕事を辞めたかった。
KENちゃんが去って喜んだいたら、もっとひどい男がやって来たと思った。
真帆に聞いたらKENちゃんのバンドメンバーだと言う。
お母さんはTAKAを徹底的に撃退するつもりでいた。
「あ・・、おかーさん真帆いる?」
TAKAが電話口で言った。
ろくに挨拶も電話のかけ方も知らない馬鹿男だと思った。
「いるよ。いるけど、真帆に聞いたらあんたとは一緒に暮らしたくないし、結婚もしたくないし、子供もいらないってさ。」
「あはは・・・。俺もそういうの嫌いだから・・。真帆出してよ。おかーさん。」
6年後に真帆のあのふざけたベース弾きの彼氏は有名プロデューサーになっていた。
お母さんはまさか真帆がこんな玉の輿に乗るとは夢にも思わなかった。
神社に着いた後、子煩悩のTAKAが絵里奈をおんぶして白い砂利道の上を歩いていた。
後ろからお母さんと真帆が少し距離を置いて歩いていた。
「早く、二人目を作りな。早くしないとTAKAちゃんが他に女を作って逃げるよ。」
「な・・・。」
「現実的になりな。TAKAちゃんが逃げないように二人目を作りな。子煩悩だから子供が小さいうちには毎日絶対家に帰ってくるよ。」
「逃げたら、逃げたでいいじゃんよ。」真帆が呆れたように言った。
「真帆、あんたは大きく当てたんだよ。逃がすんじゃないよ。あの人は別にあんたじゃなくたって、他の女を誰でも選べるんだよ。」
真帆はお母さんが、TAKAが提供するこの生活レベルに耽溺しているのを知っていた。
真帆は不愉快になってきた。