碧いラフレシアの花 その639 KENちゃん31歳のクリスマス | 連載性春小説  碧いラフレシアの花

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好きじゃない人と天国へ行くよりは


好きな人と地獄に行きたい


ある女の子の80年代



クリスマスの午前中にKENちゃんは中村さんとバンドの打ち合わせの為に中村さんのアパートに向かった。


「今日はクリスマスだね。」と中村さんが切り出した。

「そうみたいですね。」KENちゃんがやる気なく答えた。



鳥取の田舎から15年以上前に上京してきた中村さんはずっと同じアパートに住み続け仙人のようだった。


「クリスマスを一緒に過ごす女の子はいるの?」中村さんが聞いた。

「いませんよ。午後からバイトです。」

「青木君は他のメンバーよりも若いんだから・・・、一番いい男なんだから、頑張りなさい。」

「頑張っても不倫相手しかいませんよ。」KENちゃんがやる気なく笑った。


「何々?それ、どういうこと?教えて。」中村さんが笑いながら聞いた。


KENちゃんは日に日に中村さんが好きになっていった。

純粋で飾らない人でアーティストっぽいと思った。気難しい面にももう慣れた。


「プロデューサーの沢田隆章の奥さん抱いてるだけですよ。彼女なんかいませんよ。」

「あ~、沢田さんってそういえば君が昔いたバンドのベースだったよね?」

「TAKAは昔、苗字が小室だったんだけど、少女漫画描いてる奥さんの婿養子になって苗字が変わったんだ。その奥さんと俺が昔3年同棲してて・・また女のほうから連絡とって来て・・・ずるずる・・と。」


「あの夫婦ちょっと前にTVで豪邸訪問の番組に出てたよ。青木君見た?」中村さんが苦笑しながら言った。

「俺、TV見ないから見てない。知らない。」

「訳わかんない豪邸に凄い車がガレージに停まっていたよ。奥さんかなり可愛いね。あと沢田隆章、可愛い子供とか自慢してた。あ~、女の子って怖いね。ああいう子が旦那さんを裏切るんだ。くわばら。くわばら。」

中村さんが面白そうに笑った。

「でも・・最近なんか、俺には重くなってきて・・。」KENちゃんがぼやいた。