31歳月給13万のジャパメタKENちゃんの彼女作りは難しかった。
KENちゃんのバンドメンバーは全員KENちゃんより年上だった。
ギターの中村さんという人が始めたバンドで、何故か全員ステージネームは無く、全員本名のフルネーム漢字書きで仕事をした。
だからKENちゃんもそれに習って本名で歌った。
プライバシーないじゃんか・・・。
KENちゃんはこの制度に不満があった。
そのせいでU子さんの他にも電話帳を酷使してKENちゃんのアパートに電話をしてきた女の子がいた。
誰が言いだしっぺなんだ・・・。ステージネーム制をプライバシーの保護の為に採用しろ。
KENちゃんは色々バンドに不満だった。
KENちゃんはそれでも中村さんの指示に従った。結局無職よりはジャパメタのほうがマシだと思った。
紹介してくれた乱人君にも悪いと思った。
中村さんはギターの弾きすぎでいつも機嫌が悪いおじさんだった。
太りすぎでキツイ服が嫌いらしく、ウエストの両脇がゴムの黒スリムジーンズを愛用していた。
そうまでして黒スリムを履きたい中村さんの気持ちがKENちゃんには分からなかった。
「青木君、うちのバンドは国内マーケットはないけどアメリカではウケるから。」
中村さんがKENちゃんに言った。
外貨で給料が振り込まれたことなど一度もなかった。
おっさん大風呂敷だなぁとKENちゃんは呆れた。
それから2週間後にバンドのマネージャーが、アメリカのB級バンドのクラブツアーの前座の仕事をゲットしたと喜んでバンドに報告した。
KENちゃんはアメリカなどもうどうでも良かった。
ただ月給13万地獄から解放されたいと思った。
アメリカドルで小銭を集めて
新しい電子レンジが買えればそれでよかった。
アメリカじゃ、女は金髪かぁ。
そんな趣味ないのにね・・とKENちゃんはぼやいた。
その頃からすっかりその気で勘違いしだしたU子さんからの電話が激しくなった。
U子さんは21歳で彼氏いない歴21年だった。
一回ダサいバンドマンと寝ただけの人生だった。