碧いラフレシアの花 その596 | 連載性春小説  碧いラフレシアの花

連載性春小説  碧いラフレシアの花

好きじゃない人と天国へ行くよりは


好きな人と地獄に行きたい


ある女の子の80年代

ライブが始まって真帆は本当に久しぶりにKENちゃんを見た。


何だか違う人を見ているようだった。




もともと事務所の社長と社長の愛人の美穂と、美穂を現在プロデュースしてぼろ儲けしているTAKAが拝金主義の3乗で、KENちゃんを追いやったのがKENちゃんの脱退劇だった。


美穂が不倫していたKENちゃんの奥さんが狂って美穂の腹を刺したのも、社長の逆鱗に触れてしまった。






真帆は自分が高校生くらいの時のKENちゃんの記憶が全くなかった。


TAKAに夢中で本当に昔のKENちゃんというのは真帆の記憶の中には存在していなかった。







そういえばKENちゃんが首になってアル中で入院した後、お見舞いに行ったのは乱人君としんちゃんだけという、しんちゃんの話しを思い出した。

解雇じゃなくて休業にしてあげようと言ったのはマネージャーの田畑さんと乱人君だけだった。


もう今のTAKAのバンドのマネージャーさんは違う人だし、TAKAの話ではどうやらゲイで2代目ボーカルの真琴君とデキてるらしい。


TAKAはもうバンドをやる気はないし、気がついたら長者番付に載る位にプロデューサー、コンポーザーとして成功していた。


昔売れないTAKAに5万円貸して、返ってくるんだろうか、このままTAKAに捨てられるんじゃないか?と悩んだ、駄目10代グルーピーの時代の自分を思い出した。


メジャデビュー記念ギグの次の日に、ガムのようにTAKAに捨てられた真帆を拾って、ちゃんと愛してくれたのがKENちゃんだった。









あれから橋の下の川の流れの様に何もかもが変わって、真帆にはもうどうしようもなくなった。



もう真帆にはどうにもならなかった。



時の流れの前には真帆は無力だった。