碧いラフレシアの花 その583 | 連載性春小説  碧いラフレシアの花

連載性春小説  碧いラフレシアの花

好きじゃない人と天国へ行くよりは


好きな人と地獄に行きたい


ある女の子の80年代






新年会はすぐに終わった。


社長に頼まれて、酔っ払った美穂をTAKAがTAKAのポルシェで美穂のマンションまで送る羽目になった。

TAKAは運転できるレベルの酔い方だった。




美穂が「私、普通に結婚したいよ。」と車の中でぼやいた。

「すれば?」

面倒くさそうにTAKAが言った。


「仕事だけでこのまま終わるのかな、私。」

「自分次第じゃないのぉ?」


「私が嫌いなの?」

「好きじゃないよ。嫌いでもないけど。」


「ああ、男と普通の付き合いがしたいよ。」美穂が嘆くように言った。


それはお前があんまり普通じゃないから仕様がないよな・・と内心思ったが、当然言わない事にした。


「社長に結婚してもらったら?」

「すぐに嫌なことを言う。」

「いや、結婚してくれないなら移籍するって脅せよ。社の収入の25%の売り上げがお前からだろ?株主がみんな怒るから嫌々結婚してくれると思うぜ。」

「あんな爺さんと結婚したって子供作る気しないよ。」

「ひでえなぁ。社長に聞かせたい。」

TAKAが苦笑した。


「TAKAさんみたいにハンサムなプロデューサーさんだったらお嫁さんになりたいな。」

美穂が運転するTAKAの体にしだれかかった。

「俺はお前とはやらないよ。」

TAKAが冷たく美穂の体を払いのけた。


「そんなに私の事嫌い・・?」

美穂が悲しそうな顔をした。


「嫌いじゃないけどさぁ。不倫で腹刺されたばかりだろう?お前も好きな女だな。お前の不倫でKENちゃんの奥さんは首吊り自殺だよ。で・・、まだやるの?」


美穂が顔をくしゃくしゃにして突然泣き出した。


「それはそうだけど・・。私は、KENちゃんとは遊びだった・・。それは悪かったと思う。でも私はTAKAさんを尊敬してるし・・、TAKAさんの音楽的才能も見た目も・・・何か、気が変になるくらい全部愛してるし・・。」

そう言って泣きながら顔を伏せた。

「社長はどうした?」

TAKAが困った顔をして言った。

「あんなおじさん愛してる訳ないでしょ。」

「俺は、この話はパスするぞ。お前と浮気したら女房から三行半だ。お前とは関わりたくない。」



「もう、TAKAさんの奥さんが羨ましい。TAKAさんも、いい仕事も、赤ちゃんも、結婚も全部持っていて・・・。私には仕事しかないよ。愛なんかないもん。」

「真帆・・。ああ、早坂先生ね。幸せかなぁ?よく、女房に、死ねばいいのにって夫婦喧嘩で言われちゃうけど。
真帆はお前の年では漫画は売れていたけど・・、別に社長の愛人ではなかったな。普通に付き合えば普通に結婚できると思うよ。まだ若いでしょ?」

「これからどうしよう。」

「妻子持ちはやめたら?そこが初めの一歩でしょー?」



「何だか知らないけど愛がないよぉ。私の人生には愛がないよ。」かなり酔ってる美穂がさらに泣き出した。


「おい、お前が捨てたKENちゃんが早坂先生が人生で一番愛した男だぞぉ。3年同棲した後、早坂先生が覚醒剤中毒になってKENちゃんが捨てたんだよ。他の女の子が捨てたゴミが他の女の子の王子様で、他の女の子の王子様が、他の女の子が捨てるゴミで・・。まあ、人生そんなもんだ。お前も頑張れよ。でも、不倫は駄目だな。不倫は問題外だ。」


美穂が泣きながら笑い出した。

「あー、そうなんだ。私が捨てたKENちゃんが早坂先生の王子様だったんだ。それで私の理想の人が早坂先生の旦那で・・死ねばいいのにって夫婦喧嘩で言われちゃうんだ。なんかおかしいよ。」