忘年会が始まった。
誰もKENちゃんの事など覚えていないし、忘れてしまった。
それが人生なんだと真帆は噛みしめた。
社長がそっと相田美穂の肩に手を置いた。
真帆と美穂の目があった。
美穂がにっこりと真帆を見て笑った。
真帆が真琴君と話していたら
相田美穂がやってきた。
バックの中から美穂が
「TAKUTOのハートに火をつけて」の第1巻とマジックペンを出した。
「早坂まりあ先生サインください。」
真帆はつくり笑いをしながらサインした。
サインすればいいんでしょう?
サインすれば満足なんでしょう?
真帆は腹の底から怒りが沸いてきた。
「私、中学一年生の時から連載読んでます。」
「そう・・。」
「TAKUTO君みたいな綺麗なバンドのお兄さんと付き合うのが夢でした。」
じゃあ、何で社長の愛人なんだよ?
美穂がくったくなく笑った。
「お仕事頑張ってください。」
「ありがとう。」
この子は本当に何も知らないんだ・・・。
私がどんなに死ぬほどKENちゃんを愛していたか知らないんだ・・・。
真帆が遠くから、社長がかいがいしく美穂の焼肉を裏返して焼いてあげているのを見た。