乱人君が帰っていくときに「KENちゃん、結局あと2年以内にバンドは無くなりそうだから、早めに辞めて正解だったかもよ。若い方が次が見つかるもの。忘れられないうちに俺がボーカルの職をマメに業界でチェックしてあげるからね。」と言った。
「色々ありがとう。」
KENちゃんが言った。
KENちゃんは首になった時事務所の社長が言った「TAKAの書いた曲でしょぼいライブハウスで小銭集めて歌うなよ。権利の問題あるからな・・・。」という嫌味が今でも頭に残っていた。
一緒に冷たく微笑んでいたTAKAにも腹が立った。
そういえば真帆がLSDで泡を吹いて死にそうだった時、KENちゃんが救急車を呼ぼうとしたら、電話のプラグを引き抜いたTAKAの冷たい行動を思い出した。
冬の夕日の中で乱人君が振り返って手を振った。
「もうお酒は駄目だよ。KENちゃん。」
心配そうな声で乱人君が言った。
クリスマスが近づいていた。
自分が孤独だと分かる季節だった。