碧いラフレシアの花 その565 孤独な冬 | 連載性春小説  碧いラフレシアの花

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好きじゃない人と天国へ行くよりは


好きな人と地獄に行きたい


ある女の子の80年代

冬になってギターの乱人君がKENちゃんの家に遊びに来た。



KENちゃんは相変わらず飲みながらちんたら生きていた。


KENちゃん自身よくなるきっかけも動機も何も残ってはいなかった。





それでも少しKENちゃんが元気そうになっていたので、乱人君はKENちゃんの顔を見て安心した。



「KENちゃん、俺もバンド辞めるんだ。」

乱人君が言った。

「何で?」

「印税とかもバンドクレジットじゃなくなったから、いくら真琴が人気でバンドが売れても、俺の収入は同じなんだよ。それから真琴君バンドのポップに魂を売ったあの感じが嫌だ。TAKAも開き直ったもんだ。」

「辞めてどうするの?」

「実はもうAのギターの後釜に決まった。」

「え、Aってメタルでしょ?あ・・そういえば乱人君そういうの好きだったもんね。」

「Aのギターの人が辞めたあと、知り合いを使って打診して、オーディションに行って受かった。」

「今のB・Bの歌じゃ、誰が弾いても同じだもんね。乱人君はギター上手いからね。」

「変に売れてライブの本数だけ増えても収入変わらないし、アホくさ。」




もともとKENちゃんと乱人君は特に仲が良いわけではなかった。


でも底辺を打った後に、誰が当てになって、当てにならないか・・・・

KENちゃんには分かった。


「TAKAにはもう言ったの?」

「言ってないけど、明日言う。」

「びっくりするんじゃないの?俺と違って問題あるわけじゃなかったから。」

KENちゃんが苦笑いした。


「ボーカルの真琴君はファンの女の子の間でマコちゃんって呼ばれて、可愛がられているけど、あいつはオカマ。男色。更衣室で新しいマネージャーに掘られてるのを俺は見ちゃった。」

「うわああ・・それって・・。」

「絶対に言うなよってマネージャーに怒られたけど、そんな見えるところでやるほうが悪いよな。」

「なんかなあ。」

「マコちゃんのコスプレしてる女の子が可愛そう。」

乱人君が馬鹿にしたように言った。


「まあ、マコちゃんのおかげで昔の音源が売れたのは良しとしても、俺にはもう関係がないバンドだ。」

乱人君が続けた。


「TAKAはバンドやる気はもうないと思うよ。今、相田美穂に曲書いてるし、プロデューサーになりたい・・とか飲んだ時言ってたし、まあ失業する前に転職するよ。TAKAはオカマでも女でも、とにかく金になる仕事がしたい人だからね。」