冬になってギターの乱人君がKENちゃんの家に遊びに来た。
KENちゃんは相変わらず飲みながらちんたら生きていた。
KENちゃん自身よくなるきっかけも動機も何も残ってはいなかった。
それでも少しKENちゃんが元気そうになっていたので、乱人君はKENちゃんの顔を見て安心した。
「KENちゃん、俺もバンド辞めるんだ。」
乱人君が言った。
「何で?」
「印税とかもバンドクレジットじゃなくなったから、いくら真琴が人気でバンドが売れても、俺の収入は同じなんだよ。それから真琴君バンドのポップに魂を売ったあの感じが嫌だ。TAKAも開き直ったもんだ。」
「辞めてどうするの?」
「実はもうAのギターの後釜に決まった。」
「え、Aってメタルでしょ?あ・・そういえば乱人君そういうの好きだったもんね。」
「Aのギターの人が辞めたあと、知り合いを使って打診して、オーディションに行って受かった。」
「今のB・Bの歌じゃ、誰が弾いても同じだもんね。乱人君はギター上手いからね。」
「変に売れてライブの本数だけ増えても収入変わらないし、アホくさ。」
もともとKENちゃんと乱人君は特に仲が良いわけではなかった。
でも底辺を打った後に、誰が当てになって、当てにならないか・・・・
KENちゃんには分かった。
「TAKAにはもう言ったの?」
「言ってないけど、明日言う。」
「びっくりするんじゃないの?俺と違って問題あるわけじゃなかったから。」
KENちゃんが苦笑いした。
「ボーカルの真琴君はファンの女の子の間でマコちゃんって呼ばれて、可愛がられているけど、あいつはオカマ。男色。更衣室で新しいマネージャーに掘られてるのを俺は見ちゃった。」
「うわああ・・それって・・。」
「絶対に言うなよってマネージャーに怒られたけど、そんな見えるところでやるほうが悪いよな。」
「なんかなあ。」
「マコちゃんのコスプレしてる女の子が可愛そう。」
乱人君が馬鹿にしたように言った。
「まあ、マコちゃんのおかげで昔の音源が売れたのは良しとしても、俺にはもう関係がないバンドだ。」
乱人君が続けた。
「TAKAはバンドやる気はもうないと思うよ。今、相田美穂に曲書いてるし、プロデューサーになりたい・・とか飲んだ時言ってたし、まあ失業する前に転職するよ。TAKAはオカマでも女でも、とにかく金になる仕事がしたい人だからね。」