碧いラフレシアの花 その554 | 連載性春小説  碧いラフレシアの花

連載性春小説  碧いラフレシアの花

好きじゃない人と天国へ行くよりは


好きな人と地獄に行きたい


ある女の子の80年代

そのままTAKAと真帆が碧いトタンの家を後にした。


玄関の鍵を閉めた後、真帆が「明日にこの家が取り壊しになるみたいよ。」と言った。


「そうなんだ。」とTAKAが答えた。





それからポルシェの中で、TAKAが「大麻の香りがバレるので、部屋で仏具屋で買った線香焚いて誤魔化したら同居のオヤジから文句が出たんだよ。」と笑いながら言った。


真帆が「勝手にひとりで少女漫画みたいに素敵なお兄さんだと思っていたよ。」と呆れて言った。















その日の深夜に真帆の陣痛が始まった。



お母さんと真帆がタクシーで病院に行った。


「TAKAちゃん、生まれる頃になったら来てね。まだ陣痛の間隔が大きいから出てこないよ。」とお母さんがマンションを去るとき言った。

「電話するから。」と真帆が苦しそうに言った。





早朝になってお母さんが病院からTAKAに電話した。




眠そうなTAKAが病院についてから2時間後に子供が生まれた。


生まれた瞬間はTAKAは見なかった。


子供の泣き声がして看護婦さんが呼んだ時には部屋の外でウォークマンを聞いていた。





赤ちゃんを見てTAKAが本当に嬉しそうな顔をした。


お母さんがうれし泣きをしているのが見えた。




「何、これ?かわいい。」

TAKAが赤ちゃんを抱っこして喜んだ。













その日の夜病室の中で真帆は昔を思い出した。





















19歳の時「これからKENちゃんと一緒に引っ越して二人で暮らすの・・。」と真帆が言ったらお母さんが泣き出した。

真帆はお母さんが泣いた所を見た事がなかった。

真帆は自分の漫画を見せた。

お母さんは興味がなさそうにしていた。


「子供でも出来たらどうするの?」とお母さんが言った。

「結婚する。」と真帆が言った。

「もし結婚して貰えなかったらどうするの?」とお母さんが聞いた。

「そうしたら漫画描いてひとりで育てる。お母さんみたいにひとりで育てる。」と真帆が答えた。


真帆のお母さんがおんおん声をあげて泣き出した。

真帆はびっくりしてしまった。

「私みたいになる。私みたいになる・・・。」お母さんが声を振り絞るようにして泣きながら言った。



真帆は少女漫画を手にしたまま「絶対に幸せになるから。」と言ってドアを閉めて逃げるようにして家を出た。


真帆はデビュー作が載った少女漫画を手にしながら泣いた。

泣きながらKENちゃんの家に歩いて行った。