碧いラフレシアの花 その545 真帆26歳のヴァレンタイン | 連載性春小説  碧いラフレシアの花

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好きじゃない人と天国へ行くよりは


好きな人と地獄に行きたい


ある女の子の80年代



真帆のつわりがひどくなってきた。


TAKAは意外に真帆をいたわった。


全て将来のお膳立てが揃ったような気がした。




結婚式を挙げたのは1年前だった。




編集部の人が真帆の産後の休職までアレンジしてくれることになった。



真帆を精神的にいっぱいいっぱいにすると

大変になる事が分かっていたので、V.I.P待遇で編集部は前周りして構えた。

昔の様に逃げられたり、未完のまま連載を放り出されるのを恐れての、産後休み贈呈サービスだった。




それでもつわりのまま仕事をするのは辛かった。




TAKAが真帆が流産するのではないかと心配して家事を色々しはじめた。


なんとなく夫婦らしくなってきた。



ヴァレンタインの日に電車で編集部に出かけた真帆が駅のトイレで吐いた。



そこは丁度KENちゃんのマンションの最寄の駅だった。


そのまま衝動的に真帆が駅ビルでヴァレンタインのチョコを買った。


無意味だと分かっているのにチョコを持っていつのまにかKENちゃんのマンションに向かっていた。






TAKAはもう2代目ボーカルを事務所の社長と有名インディーバンドから引き抜いてきて、社長がこっそり多額の契約金を2代目ボーカルに渡した。

2代目ボーカルは22歳だった。

「ニューリアルオープンプロジェクトだから。」とTAKAが笑って話した。


丁度そのヴァレンタインの日が

ファンクラブ限定ギグで2代目ボーカルのお披露目の日だった。




どうせこのまま一生KENちゃんには会えないのだから

最後にチョコを渡したかった。




歓迎されないのは

もう分かっていた。