碧いラフレシアの花 その522 暗い季節 | 連載性春小説  碧いラフレシアの花

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好きじゃない人と天国へ行くよりは


好きな人と地獄に行きたい


ある女の子の80年代




それからしばらくして冬の初めに


KENちゃんは業界のパーティに出席する真帆とTAKAを道端で偶然見かけた。



二人に声をかけようとしたけれど


二人で赤いポルシェの中でキスをしていた。


だからKENちゃんは声をかけなかった。



街頭の明かりがぼんやりと赤いポルシェに反射していた。


二人のキスはしつこかった。


これ以上をやらかすのではないかと直視できないくらいだった。








暗い冬の夜空から粉雪が降ってきた。



奥さんが自殺してからKENちゃんの酒量がまた増えた。




昔TAKAと真帆の結婚式にKENちゃんと奥さんが二人で出席した時

スーツ代が1万5千円以下な事で夫婦喧嘩をした。

あの頃奥さんはマンションの頭金を必死に貯めていた。


死者に貯蓄なんか必要だったんだろうか・・・?




もうすぐ新春映画の第2弾が公開される真帆にとって1万5千円なんてもうどうでもいいのだろう。


TAKAの30歳に誕生日に本気で真帆が赤いポルシェをギフトとしてTAKAに渡したと聞いたとき、KENちゃんはひきつった。









KENちゃんが奥さんに真帆とTAKAへの結婚式の祝い金が少なすぎて恥ずかしいと文句を言った時

奥さんが鼻で笑いながら

「うるさいわね。真帆は金があるからいいんだよ。あんな棺桶に片足突っ込んでるような夫婦、おめでたくなんかないでしょ?二人の葬式の時にはいっぱい包んであげるけどね。」

と言った。






今では真帆夫婦が

少なくとも奥さんよりは

長生きした。


誰も

KENちゃんも

奥さんの葬式に

金を包まなかった。






その頃からKENちゃんが酒の飲みすぎで

歌詞を頻繁にド忘れするようになった。







KENちゃんがアル中になった。




昔ポン中になった真帆に「結婚したり自分の子供を産む人とは思えない。」と言ってKENちゃんは去っていったのに、気がついたらKENちゃんが一番最悪な人生を歩んでいた。




自殺した奥さんが

結婚したり

自分の子供を産む人だった。