焼肉が終わった後みんなでカラオケをした。
橘君は真帆の歌がやたら上手いことに驚いた。
きっと何がしの才能はある人なのだろうと思った。
「橘君は彼女とか欲しくないの?」
酔っ払ってる真帆が聞いた。
「付き合ってくれる人がいたら欲しいですよ。」
「その年までチェリーをキープしたのはどうして?」
おばさんの編集者が引きつりながら聞いていた。
「僕とやりたい女の子がいないからです。」
橘君がむっとして答えた。
「男子校だった?」
「幼稚園から大学まで全部共学ですよ。それでも女の子にはモテません。」
「髪型とか服装が垢抜けないからじゃないの?」
「そんな先生の漫画に出てくる男みたいな格好、僕にはありえないです。まず似合わない。」
「前髪つけたら?」
「前髪うんぬんの問題じゃないです。根本の問題です。」
明らかにクスリでおかしくなっている真帆が笑いながら
「水上げしてあげようか?」と言った。
その場から編集のおばさんがさっと去っていった。
また聞きしていた他の若い漫画家の先生が「まりあさん、そんなことしたら結婚がドタキャンになるよ。」と言った。
橘君はだんだん真帆に腹が立ってきた。
「ねえ、少女漫画なんか好きなの?」
真帆が橘君に聞いた。
「嫌いです。読みません。」
「じゃ、何でこんなところで働いてるの?」
「早稲田の一文を出た後にここしか就職できませんでした。僕は小説の編集部で働いて小説家になるのが夢です。」
「あんたは予備校の教師とかのほうが向いてない?」
橘君は真帆を張り倒したくなってきた。
「チェリーの小説なんかへヴィじゃん。」
真帆の失言は止まらなかった。