焼肉屋についた時には既に真帆は隠しようもなくおかしかった。
橘君が編集長とトイレでばったり一緒になった時
「かなり大変な先生だから、高橋さんが復帰するまで目を配っていて。」
と編集長が橘君に言った。
「昔からああなんですか?」
「いや、昔はあんなじゃないよ。デビューした時はまだ10代だったけど可愛くていい子だったよ。」
「今婚約してる人がベース弾きでツアーでいないみたい。浮気してるんじゃないかって動揺してた。」
「こ・・困る。」
「あれって精神病ですか?それとも薬物ですか?」
「分からない・・というかそんな事本人に聞けないだろう。前回失踪した時、アシスタントに事情を聞いたんだけど、アシスタントがクリスマス明けに仕事に行ったら、ベース弾きが出てきて・・俺がクリスマスに浮気してから怒って出て行っていない・・、行方不明だ・・と言ったそうだ。お母さんも同じ事言ってた。」
「婚約者ってどういう人なんですか?」
「担当の話だと笑っちゃうくらい漫画の主人公に似てるそうだ。」
「大丈夫ですかね?」
「大丈夫なのを祈るしかないよ。」
「何でそんな男にハマるんですかね?」
「昔は今の男じゃなかったみたいよ。前の違う担当が原稿取りに行ったら、違う男だったって言ってた。先生にやんわり聞いたら二人とも同じバンドのバンドメンバーで友達なんだそうだ。」
「ついていけない世界ですね。かなり若いうちからぐちゃぐちゃしてますね。」
「そりゃ、君、普通の人間なんか漫画だの音楽だので食わないだろう。また漫画が連載休止にならないように・・・・、まあ、君、先生をちゃんと見ておいてね。」
「僕が出来ることは限られていると思いますが・・。」
「まあ、先生が望む事は何でもしてやれ。子守だ。」