それから奥さんが店屋物の鍋焼きうどんの器が2つテーブルの上にあるのに気がついた。
「何二人でうどんなんか食べてるんだよ。」
奥さんが怒り出した。
「もう通い妻が出来たの?あなたどこまで最低なの?子供に示すものなんか何もないじゃないのっ!」
「ごめん。魔が差した。」
「あの子と付き合ってるの?」
「違う。」
「あの子の出所は何なの?」
「今日いきなり家を訪ねてきたファンで・・面識はない・・。」
「馬鹿じゃないのっ?いつかキチガイのファンに刺されるわよっ。アンタっ!子供もいるんだからしっかりしてよ。あんただけの家じゃないのよっ!」
「ごめん。」
「やたら門戸が広いじゃないのっ!アンタっ!これじゃ極秘入籍した意味がないじゃないっ!何も悪い事してないのに事務所にあんたの実家なんかに隠されて、こんなに苦労して・・。それなのに浮気ばかりされて・・・。」
確かに極秘入籍の意味はなかったように思えた・・・。
奇妙な事に今日の女の子はKENちゃんが妻子持ちなのを既に知っていた。
その子がじっとベビーベットや奥さんの花柄のスリッパを見ているので、KENちゃんが苦笑したら・・・
「もう知ってるよ。KENちゃん妻子もちってファンの間で有名だよ。」とその子はあっさりと言った。
「誰から聞いたの?」KENちゃんがその子に聞いた。
「誰って・・、同じようなファンの子だよ。公園でKENちゃんがよくベビーカー引いてタバコ一人で吸ってるとか・・・。有名だよ。」
これでまた噂が広まるんだろうな。
最低なおとーさんっていう噂が広まるんだろうな。
KENちゃんがうな垂れた。
「ごめん。もう浮気しない。俺が最低だった。ごめん。」
「もうこんな結婚嫌よっ!里帰りさえも安心して出来ないってことよね???」