碧いラフレシアの花 その411 | 連載性春小説  碧いラフレシアの花

連載性春小説  碧いラフレシアの花

好きじゃない人と天国へ行くよりは


好きな人と地獄に行きたい


ある女の子の80年代



KENちゃんの奥さんがやってくる前にTAKAはついついビールを開けた。


気がついたら何本も開けていた。







奥さんがやって来た時にはTAKAはすでに酒臭く、奥さんが顔をゆがめた。



真帆の編集さんが持ってきたカステラの箱を開けるのも面倒くさくなり、TAKAは緑茶の入れ方も考えてみればよく分からないので、そのまま奥さんをソファに座らせた。



結局おもてなしは無しで、「で、何の話だっけ・・?」とふざけた感じでTAKAが切り出した。



紺色のマタニティのジャンパースカートに、白いフリルの襟のブラウスとモヘアのピンクのカーディガンを着た奥さんは、一気にここから機嫌が悪くなった。


「いつ結婚するんですか?」

KENちゃんの奥さんが聞いた。

「知らね・・。」

TAKAが面倒くさそうに言った。

「凄いダイヤの指輪ですよね。私羨ましいです。KENちゃんは指輪もくれないんですよ。事務所命令で隠れているし、日陰の女みたいで・・・、私もう嫌なんです。」

「事務所は俺と真帆だったらでっかい結婚式していいって言ったけど。俺が真帆の漫画のTAKUTO君のモデルだから、夫婦抱きあわせ商法でいいぞ・・って。」


ここから奥さんがヒステリックになりだした。

「あんな薬で泡を吹く人と結婚できるんですか・・?」

「うん。気にならない。」

TAKAがしれっと言った。

「婚約者が不倫しててもあなたは気にならないの?」

「真帆は浮気してないよ。」

「去年の失踪中もそう信じていたんですか?」

「そういう問題も話し合い済みだから・・。俺がそれでも気に入ってるんだから、もういいだろ。」

「私の夫にちょっかい出すのやめて欲しいんですけど。」

「そういうことは真帆はしてない。」



TAKAはKENちゃんの浮気相手が同じ事務所の同業者の歌手だと知っていた。

同じ事務所の商品が不倫だと洒落にならないし、奥さんが事務所で暴れると自分が責任を被りそうなので黙っている事にした。


「帝国探偵社でもつけたら~?」

TAKAが馬鹿にしたように言った。


「よくそんな女性と結婚する気になりますよね?」

奥さんが怒りながら言った。

「真帆もよくこんな男と結婚する気になったもんだ・・とかよく思うけど。別にああいう女で俺は充分だけど。」

「あなた、早坂まりあさんの収入が目当てなんですか?」

奥さんが馬鹿にしたように言った。


「お前はどーなんだよ?こういう音楽興味あんのか?青田買いとか投資のつもりでKENちゃんに近づいて、できちゃった婚でしょ?だっせ。」

TAKAは明らかに酔っ払っていた。


「本当に嫌な奴!」

奥さんが怒って帰ろうとした。


「2度と来るなー。」

TAKAが馬鹿にして言った。


「ミス青山って職業かー?真帆は問題あってもひとかどのアーティストだぞー。おまえみたいな勘違いしてるだけのブスのクソお嬢とはちがーう。」

奥さんが激怒してスリッパをTAKAに投げた。

「いい加減にしてよっ!」

「次にODになった時は直接俺が叔父さんに電話するからね。俺らがぽしゃると、俺のバンドの唄うたいのKENちゃんの収入も無くなるぞ。お前、わがままだから工務店のおかみとか無理だろー?そんなつもりで結婚したんじゃないんだろう、お前?」

「もう、死ねばいいのにっ!」

「死ねばいいのにって、真帆にも言われた事があるよー。」

TAKAがへらへら言うので奥さんが激怒したまま、マンションから出て行った。