碧いラフレシアの花 その244 もう一度TAKAの彼女になる | 連載性春小説  碧いラフレシアの花

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好きじゃない人と天国へ行くよりは


好きな人と地獄に行きたい


ある女の子の80年代

12月31日は真帆の引越しの日だった。

TAKAはカウントダウンのライブで手伝いが出来ないという事だった。


TAKAがローディのしんちゃんが朝早く、ひとり暮らしをするので真帆のコタツや家具が欲しく、バンドのバンで取りに来たい・・との事なので、家に入れてあげて・・と言った。

真帆も家具などを捨てるのは大変なので箪笥も電子レンジも好きなものをしんちゃんにあげる・・と言った。

TAKAとの電話ではしんちゃんは午前8時に真帆の家に来て、それからは仕事に出るのだそうだ。TAKAは忙しいので真帆の家には行けない・・との事だった。

引越し業者は午後3時にくるのでそれまでに真帆はお母さんと、荷造りをする事にした。



12月30日の夜にお母さんが真帆のアパートに泊まりにやって来た。


もう色々なものが片付いてアパートの中はがらんとしていた。


これでKENちゃんとの生活は本当に終わりなんだな・・と思った。


真帆はKENちゃんと同棲する前のお母さんとのやりとりを思い出した。


3年前の真帆が19歳の時の会話だった。













「これからKENちゃんと一緒に引っ越して二人で暮らすの・・。」真帆がそう言ったらお母さんが泣き出した。

真帆はお母さんが泣いた所を見た事がなかった。

真帆は自分の漫画を見せた。

お母さんは興味がなさそうにしていた。


「子供でも出来たらどうするの?」とお母さんが言った。

「結婚する。」と真帆が言った。

「もし結婚して貰えなかったらどうするの?」とお母さんが聞いた。

「そうしたら漫画描いてひとりで育てる。お母さんみたいにひとりで育てる。」と真帆が答えた。


真帆のお母さんがおんおん声をあげて泣き出した。

真帆はびっくりしてしまった。

「私みたいになる。私みたいになる・・・。」お母さんが声を振り絞るようにして泣きながら言った。



真帆は少女漫画を手にしたまま「絶対に幸せになるから。」と言ってドアを閉めて逃げるようにして家を出た。


真帆はデビュー作が載った少女漫画を手にしながら泣いた。












幸せにはならなかった・・・・。