呉はクリスマスケーキと赤いバラの花束を持っていた。
「クリスマスプレゼントです。」と呉が言った。
「ああ・・・。何でまた・・。」
真帆は困った。
「電話しないで・・と怒られたので・・。いきなり来てすみません。」
「もうクスリは嫌なんだよ、私は。」
「いえ、今日はそういう事じゃないんです。ちゃんとお話したい事があって来たんです。」呉が言った。
呉の話では、もうドラック・ディーラーはやめた・・との事だった。
全部クスリは売ったので、今日は何もクスリは持っていないし、そういう理由ではないのだと言う。
「僕、知り合いのコネで、貿易会社の社員になりました。社長は中国系です。その会社から労働ビザが発行されたので・・・。僕はもうクスリは売っていません。会社で働きはじめています。今日は仕事の道すがらあなたを思い出して訪ねてみました。」
それから呉は自分の名刺を見せた。
本当に会社員をしていて、きちんとしたグレーのスーツを着ていた。
「僕もマトモになったので、あなたもマトモになれますよ。死んだりしないでね・・。」
呉が言った。