碧いラフレシアの花 その126 | 連載性春小説  碧いラフレシアの花

連載性春小説  碧いラフレシアの花

好きじゃない人と天国へ行くよりは


好きな人と地獄に行きたい


ある女の子の80年代


1月の半ばにKENちゃんと真帆は一緒にKENちゃんの家を出て引っ越した。

引越し屋さんの車が来て、真帆のものとKENちゃんのものを運んだ。




その前日に真帆は引越しの前に実家のお母さんが住むアパートに、自分の漫画が掲載された月刊少女漫画雑誌Rを持って会いに行った。

KENちゃんの家から歩いて行ける距離なので・・・

なるほど・・どっかでKENちゃんとは小さい頃すれ違ったかもしれない・・と思った。


「これからKENちゃんと一緒に引っ越して二人で暮らすの・・。」真帆がそう言ったらお母さんが泣き出した。

真帆はお母さんが泣いた所を見た事がなかった。

真帆は自分の漫画を見せた。

お母さんは興味がなさそうにしていた。


「子供でも出来たらどうするの?」とお母さんが言った。

「結婚する。」と真帆が言った。

「もし結婚して貰えなかったらどうするの?」とお母さんが聞いた。

「そうしたら漫画描いてひとりで育てる。お母さんみたいにひとりで育てる。」と真帆が答えた。


真帆のお母さんがおんおん声をあげて泣き出した。

真帆はびっくりしてしまった。

「私みたいになる。私みたいになる・・・。」お母さんが声を振り絞るようにして泣きながら言った。



真帆は少女漫画を手にしたまま「絶対に幸せになるから。」と言ってドアを閉めて逃げるようにして家を出た。


真帆はデビュー作が載った少女漫画を手にしながら泣いた。

泣きながらKENちゃんの家に歩いて行った。