碧いラフレシアの花 その101 田中さんの受難 | 連載性春小説  碧いラフレシアの花

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好きじゃない人と天国へ行くよりは


好きな人と地獄に行きたい


ある女の子の80年代


KENちゃんと真帆が会社の寮に着いた頃には吹雪だった。

二人で「寒いっ、寒いっ・・。」と騒いだ。

ある意味KENちゃんといるとラクだった。

TAKAへの愛は絶対だったけれど、TAKAはいつも不機嫌で真帆を悲しくさせた。

KENちゃんは雰囲気は冷たいけれどなんか意外に面白かった。


寮の階段を二人で上がったら真帆の部屋の前に人影があった。


「た・・田中さんっ・・・?」

真帆は仰天した。

「真帆っ・・。」田中さんが真帆の腕を取った。

田中さんが真帆の横のKENちゃんに気がついて引きつった。


「真帆・・・これが・・・彼氏・・??」

「うん。」真帆が恥ずかしそうに答えた。

田中さんは完全にKENちゃんを無視して冷たい視線でKENちゃんを見た。


KENちゃんも田中さんを見て信じられなかった。

だいたいこういうカタギのスーツのおっさんと自分の女を共有しただなんて信じられなかった。

田中さんとKENちゃんはお互いに真帆は男の趣味が相当悪い・・と思った。

KENちゃんは何となくTAKAの怒りが理解できるような気がした。


田中さんが「真帆、目を覚ませよ。クリスマスにスウィートルームを予約してやるからね・・・。」と言った。

それから「もう、お母さんが心配するぞ、こんな男。」と言ってKENちゃんをけっとした顔で見た。

「田中さん・・もうクリスマス・・この男の子と温泉旅行を予約したの。ごめんなさい。」と真帆が言った。

「キャンセルできるぞ。」

田中さんが冷たく言った。


KENちゃんは真帆と田中さんのやりとりをぼんやりと見ていた。

真帆の男の選択はTAKAといいこのオッサンといい相当両極端だ。

多分真帆の中に家庭環境とか、父親からの気質遺伝とかそういう複雑な要素があって・・・こういう両極端なチョイスに走るのだろう・・と思った。

「真帆!もっと頭使って生きろよ!」

田中さんがそう言って、真帆に喝を入れて気が弱い真帆がぐずぐず泣き出した。

「これはお前の紐か?」

KENちゃんはカチンと来た。

何でここまでふられたモテないおっさんに偉そうに言われなければいけないのか・・と思った。


「おっさんふられたのにエバるんだもんなぁ・・。」KENちゃんが馬鹿にしたように言った。

「かっこ悪いから若い女が逃げるのだろうなー。投資してもだめぇー?」さらにおちょくり続けた。


田中さんがブチ切れてKENちゃんの髪を引っ張った。田中さんがそのままポカスカKENちゃんを2、3発殴った。

「いてぇー、クソ親父っ。」KENちゃんがブーツで田中さんを蹴った。


隣の部屋から物音に気がついて真帆の先輩が飛び出した。


丁度二人でポカスカ殴りあっていた最中だった。


ここでKENちゃんの柄の悪さにびっくりした先輩が警察に電話してしまった。








この結果田中さんは渦中の人になった。