真帆が「ごめんなさい・・。ごめんなさい・・。」と泣き出した。
そのまま二人でバンの中に入って、運転席のしんちゃんのすぐ後ろに座った。
しんちゃんは週間の少年漫画の雑誌を読んでいた。
「もう、連絡したくなかった。でも金借りてたし・・。それに、誰かさんが一生のお願いとか言うからギグに招待してやった。」
「許して・・。」真帆が顔を伏せて泣き続けた。
「あーあ、ギグの後にあのオヤジのお古を抱くのかぁー。」
しんちゃんがぎょっとして車から逃げるように出て行った。
それからサイドギターのNAO君とドラマーの紫音君がバンの中に入って来た。
2人は後ろのほうに座ってTAKAに挨拶はしなかった。
「あのおっさん何なの?出所はどこーっ?」TAKAが馬鹿にしたように言った。
「会社の上司だよ。」
真帆は嘘をついた。
「上司だから断れなくて・・。」
真帆がまた嘘をついた。
「そこまで会社一緒だからってやるのかよー?あいつ結婚してるの?いったい幾つ??」
「あの人はバツイチで・・子供はいないよ・・。30歳だよ。」
「社内不倫じゃなくてよかったなー。真帆、少しは条件がマシになったな。」TAKAが本当に真帆を汚いものを見るような目で見た。
「あいつ、30なの???40くらいかと思ったー。はー、老けて見えるなー。」
真帆がおいおい泣き出した。
「上司となんか浮気してんじゃねーよ。」
後ろからNAO君が「自分の事棚に上げて、女の浮気を責めてますねー。」と野次を飛ばした。
「こんなお兄さんだと上司に走っちゃうよねー。」と紫音君が笑いながら言った。
「うるせー、殺すぞ。」
TAKAが小声でぼやいた。