『CLIP STUDIO PAINT』とは
CELSYS(セルシス)が提供しているお絵描きソフト、略して”クリスタ(クリペと呼ばれることも)”である。
わたしも同社の『COMIC STUDIO EX 4.0 for MacOSX(略して”コミスタ”)』から無償アップグレードで 『CLIP STUDIO PAINT EX』に移行して以来愛用中。
Windowsユーザには『SAI』というお絵描きソフトを使っている人が多いがSAIにはMac版が存在しないためマカーで漫画やイラスト描く人の殆どがクリスタのお世話になっているのではなかろうか。
CLIP STUDIO PAINTイラスト・マンガ制作ソフト
満を持してiPad版クリスタ登場!
iPad ProとApple Pencilが発売されたときそのあまりの描き心地の良さに誰もが夢想したこと。
それが、「あーあ、iPadでもクリスタが使えればなぁ…」である。
そう、クリスタは大変便利だがPCがないと使えなかったのだ。
そのため布団の中やソファの上、外出先でもクリスタでラクガキをしたい人はSuraface ProのようなWindowsタブレットを購入する必要があった。
かくいう自分もワコムデジタイザ付きのSurface Pro2を買ってクリスタをインストールしていた。
が、それにも問題があった。
・Windowsタブレットは重い!!!分厚い!!!!外に持ち歩く気になれない!!!!
・PC用ソフトのUIをタブレットサイズに表示させると描画スペースが非常に狭く作業がしづらい。
そうしてまた、「やっぱり、薄くて軽くて持ち運べるiPadでクリスタが使いたいなぁ~」という思考に戻る。
ということを数年間ぐるぐる思い悩んでいたら、、、出た!!!!!!!
出てしまったのである。iPad版クリスタが!!!!!!!!!!!!
前置きが長くなったが、何故Twitter上でオタクがあれだけ騒いでいたのか、これがどんなに朗報であるかがお分かりいただけただろうか。
12/20までに登録をすれば6ヶ月間は無料お試し期間(それ以降は月額980円)ということで、早速9.7インチiPad Proにインストールしてみた。
使用レビューはまた別途。
(書きました→【レビュー】iPad版CLIP STUDIO PAINT EX)
月額980円は高い?
今は無料なのでオタクがこぞって遊んでいるが、月額980円になったときにそれでも使い続ける人がどの程度残るかは疑問。
何しろPC版のクリスタはあほほど安い。
PROダウンロード版だと5,000円で買えてしまう。
最初に1回5千円払うだけでMacとWindows2台同時にインストールしても良くてOSが対応している限り永久に我が物として使える。
パッケージ版6.508円
EXダウンロード版も月額500円×50ヶ月=25,000円または月額1,000円×24ヶ月=24,000円の継続利用後には期限なく無料で使用できるライセンスが得られる。
パッケージ版25,239円
漫画原稿のページ管理、デジタル入稿に必須の製本処理などの機能盛り盛り版EXですら2.5万円払えば永久に使えるのに、iPad版が月額980円×永久に支払い続けなのは如何なものだろうか。
月額980円という価格設定は強気すぎるのでは?
例えば『Adobe CC (Creative Cloud)PhotoShop』でいえばパッケージ版『Adobe CS(Creative Suite)6 PhotoShop』が74,800円していたところ、月額980円で使えるようになり気軽に手を出し易くなった。
同じ月額でも有り難みが↓こうなるのは当然の心理ではないだろうか。
74,800円相当のソフトが月額980円で使える > 5,000円相当のソフトが月額980円で使える
元々のソフトの価格差を考えると、買い切り5,000円、EX全機能開放でオプション月額350円(税込)が妥当と思われる。
せめてPC版EXのライセンス持ってる人だけでも月額350円にならないかな。
課金してでも使いたい機能は?
iPadでイラスト描くだけなら超高機能なプロクリが買い切りでたったの1200円(たまにセールもしてる)だし、
iPadで下描きしてPCで仕上げたいなんて無料アプリのメディバンが既にやってくれてるわけよ。
PC版も無料、iOS版もAndroid版も無料。クラウドで作品ファイル同期可能。
それでも多くの人がクリスタを選ぶ理由は徹底的に漫画を描くことに特化した機能が備わっているから。
3Dモデルもベクターレイヤーも扱えるアプリがiPadで使えるなんて。
凄い。凄いことはもう知っているからこそ成功して欲しいのだが、月額980円…。
ユーザーに無料期間が終わっても他アプリに移行せずに使い続けようと思わせるには、これから半年間「もうiPad版クリスタがないと生きていけない!」と廃人にさせるだけの機能をつけてアップデートさせていくしかない。
そのために強化すべきは「PC版とiPad版のスムーズな同期」。
同人屋が望むことは、布団の中でゴロゴロしながらiPadでネーム(コマ割り+セリフ入れ)とラフと下描きをする→布団から出てPCで清書する→外出先にてiPadでトーンを貼る(→できればiPadで入稿データ作成までして印刷所に送りたい)。
何なら液タブ投げ捨ててiPadPro+ApplePencilだけで完結させたい。
ほぼこれだと思う。
今でもCLIP STUDIOクラウド上の作品ファイルはPCからもiPadからも開けるようになってるし、クラウドの容量も10GBもあるのだが、TLを見ているとiTunesを経由しないとファイルの同期ができないと思い込んでる人もちらほら。
解り易い工夫が必要かも。
あと、アシスタント複数人と共同作業するためなのかプロの漫画家たちのツイートでは「Dropboxが使えないと困る」という意見が多い。
何より重要なのは、PCと同じ作業環境をiPadでも再現できること。
iPad版でもPC版同様に「ワークスペース」を登録できるのが捗りすぎる。
素材も同期できるからPCでお絵描きするときのペンやブラシがそのまま使える。
が、惜しいのがその素材の同期。
そのうち改善されるとは思うんだけど、Macで使ってる全素材(3Dデータ含む)まで何でもかんでも同期されてしまってはiPadの容量的に適わない。
iPadで使う素材だけを選択して一括同期させる機能が欲しい。
6ヶ月後どうなることやら。
ちなみに自分は続けないかもなぁ。
毎日原稿してる漫画家なら月額980円払っても余りある恩恵を受けられるだろうが週末にちょろっとラクガキする程度ではとてもペイできない。
だったら無料のメディバンでラフ描いてPNGで書き出して(当然レイヤーは統合されてしまう不便は生じるが)Mac版クリスタで仕上げる。