NASAが計画する「太陽系を変更する」探査機。 | 世界メディア・ニュースとモバイル・マネー

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地球の壊滅的被害は回避できるか?

 

MIT Technology Reviewは2020年12月18日に、太陽系内には無数に小惑星がある。その一つでも地球に衝突したら、人類に壊滅的な被害をもたらす可能性がある。そうした小惑星が地球に接近してくるのが分かったときに、宇宙探査機をぶつけることで軌道をそらして衝突を防げるのかどうか実証する「DART」ミッションの打ち上げが2021年07月に予定されていると報告した。

 

確か、そんなSF映画を見たことがあった。

 

https://time-az.com/main/detail/73432 

 

 

メリーランド州ローレル(Laurel, Maryland)にあるジョンズ・ホプキンス大学(Johns Hopkins University)APL(Applied Physics Laboratory/応用物理学研究所)23号棟のクリーンルームで、宇宙探査機「DART(Double Asteroid Redirection Test/二重小惑星方向転換試験/ダート)」が広げられていた。

 

立方体の卵を割ったかのようだ。電池や様々なセンサーとともに、「DART」が深宇宙に入るとどちらが上方向かを特定する「Star Tracker(スター・トラッカー)」と呼ばれる機器が中心部に搭載されている。

 

「DART」が折りたたまれると側面となる精密加工された正方形のパネルには、「DART」の中央コンピュータであるavionics system(アビオニクス・システム)が据え付けられているのが認められる。そのコンピュータから出るケーブルの先にはDARTが地球との通信に使用することになる無線システムがつながっている。

 

ジャイロスコープとアンテナは露出している。隣の部屋には実験的なイオン・スラスタ・システム(Ion Thruster System)である「ネクストC(NEXT-C)」が出番を待っている。銀の断熱材に包まれた太いコイル状の大きな束が「DART」から垂れ下がり、床を這って制御室に向かう。その束の先は、4人のエンジニアが操作する試験用コンピュータの大きな電池に接続されている。

 

1台のコンピュータの上の時計には「DART打ち上げまで:302日05時間56分」と表示されていた。

 

 

「DART」は、二重小惑星を構成する2つの小惑星の片方である「ディモルフォス(Dimorphos)」に衝突させる目的で開発されている。

「DART」がぶつかる衝撃により、「ディモルフォス」の速度は毎秒約1mm、つまり時速3.6m変化する予定だと言う。「ディモルフォス」は地球と衝突する軌道にある小惑星ではないが、将来、地球に衝突する可能性のある小惑星が発見されたときに、その小惑星の軌道を変更できる能力を実証することが「DART」の目的である。

 

 

ソ連の月探査機である「ルナ1号(Luna 1 )」が、1959年01月02日に地球周回軌道を飛び出した史上初の宇宙探査機となって以来、人類は約250機の探査機を太陽系に送り込んできた。

その中でも「DART」はユニークである。

「DART」は太陽系を研究するためではなく、太陽系を変えるために送り込まれる最初の宇宙探査機になる。

 

2005年に米国議会はNASAに、直径140mを超えるすべての地球近傍天体をリストにまとめるように新たに命令した。人類滅亡までは引き起こさないものの壊滅的な影響を及ぼす可能性のあるサイズの天体であり、この作業は現在も継続中である。NASAは2016年に、地球に衝突して大きな被害をもたらす可能性のある天体が発見された場合、米国および世界の多種多様な機関を結集するため、PDCO(Planetary Defense Coordination Office/惑星防衛調整局)を設立した。

「DART」はPDCOの最初のミッションとなる。

 

 

「私たちは宇宙の犠牲者になる必要はありません」とPDCOのリンドリー・ジョンソン(Lindley Johnson)局長は言う。「人類滅亡の危機に直面し、失敗が許されない状況で、小惑星の軌道をそらす初めての実証をしたくはありません」。

「DART」の目的は2つある。宇宙探査機を狙い通り小惑星に衝突させる能力を証明すること、そして、衝突の影響を測定することだと言う。