ヨーロッパ経済ニュースEUROPE NNAは2020年10月21日に、最終的で最大の山場を迎えているイギリスとEU(European Union/欧州連合)によるブレグジット(Brexit)交渉や、移行期間終了後の将来のイギリス・EU関係などに関するエコノミック・メディア・ブレティン(Economic Media Bulletin)主催の「EMBビジネスウェビナー(EMB Business Webinar)」が2020年10月20日に開かれたと報告した。
民間企業や法律事務所の専門家3人がパネルディスカッション形式で、離脱に関わる現状の問題点や今後の道筋について解説。
今なお協議に進展は見られないものの、両者に交渉継続の意思が感じられることから、「EMBビジネスウェビナー」では、合意に至る可能性は60%前後との見方が示された。
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モデレーターを務めたのは、ヨーロッパ住友商事(Sumitomo Corporation of Europe)のコーポレート・コーディネーション&プランニンググループ長(Head of the Corporate Coordination and Planning Group)でJBCE(Japan Business Council in Europe/在欧日系ビジネス協議会)のブレグジット・タスクフォース(Brexit Task Force)の共同代表を務めるグラハム・ホルマン(Graham Holman)。パネリストとして、スウェーデンの広報会社クレアブ・ワールドワイド(Kreab Worldwide)の副社長兼広報部門トップで同社のブレグジットチームを率いるセバスチャン・レモーイ(Sebastian Remøy)、イギリスの法律事務所ハーバート・スミス・フリーヒルズ(Herbert Smith Freehills)のブレグジット・ディレクターであるポール・ブッチャー(Paul Butcher)が登壇した。
イギリスのボリス・ジョンソン首相(Prime Minister Boris Johnson)は、2020年10月15~16日のEU首脳会議(EU Summit/サミット)までに合意のめどが立たなかったことを受け、産業界に合意なき離脱に備えるよう呼び掛けた。
これについてセバスチャン・レモーイは「それでも同首相は妥結に至りたいと考えており、EU側も、交渉期限を11月半ばまで伸ばし、できる限り継続したい意向を示している」と説明した。
だが、両者の間で膠着(こうちゃく)状態にある漁業権や国家補助を巡る問題が障壁となるほか、イギリスの国内市場法案がEU側の不信をあおり、大きな懸念材料になっていると指摘した。
ポール・ブッチャーは、イギリス政府が交渉姿勢を再び示したことに言及し、両者は現在、切迫した状況に追い込まれており、必要であれば譲歩せざるを得なくなると予想する。
合意に至る可能性は60%程度だが、双方が相手の妥結点を読み違えて交渉時間を空費した結果、「不慮の合意なき離脱」になってしまう可能性もぬぐえないとしている。
それが最も悲劇的である。
ただ、各企業は合意なき離脱の可能性を考慮し、在庫確保といった備えを進めていくべきとアドバイスした。
質疑応答では、参加者からの「ブレグジット後の人の移動についてどうなるか」との質問に対し、セバスチャン・レモーイは「例えば、ヨーロッパに拠点を有する日本企業で働くEU市民が、イギリスに出張や駐在として入国する場合、第3国からの入国と同じ扱いとなるため、従来と比べてやや煩雑になる。」と回答した。他にも貿易を含む各規制に関する質問が寄せられ、「企業は関税の専門家やイギリス・EU双方のルールに対応しているサプライヤーなどを探しておく必要がある」と答えた。
自動車関係では、私のように、英語とドイツ語、フランス語が理解できると有利かも知れない。
もう、英語だけでは無理になる。
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