空想的野球劇場 -17ページ目

空想的野球劇場

読んだ野球マンガの感想など書いていきたいと思います。

マンガショップさんから毎月一冊づつ復刊されていた『ナガシマくん』の最終巻になります。
1962年8月から1964年8月まで光文社の「少年」に掲載されていたものと、1960年お正月大増刊号「少年探偵ブック」に掲載されたものを集めた一冊です。

野球漫画といっても、少年野球をやっている少年の日常を描いたものです。
全体的にいえるのは、笑いあり、家族愛ありでほのぼのとしているということ。
ハラハラやドキドキは期待できませんが、逆に悪者もでてこないので、嫌な気持ちになることもないです。やはり時代を超えて復刊されるような作品はいいものですよね。

ドラマがヒットし、今度は映画にもなるという森田まさのりさんの漫画『ROOKIES』の関連本です。
著者の吉野敬介さんは暴走族出身で、予備校の古文の講師として有名な方らしいですね。
自分は理系なこともあって、恥ずかしながら存じ上げませんでしたが。

この、『ROOKIES』ですが、自分も大好きな漫画のひとつです。
連載が始まった頃は、野球漫画じゃなくて不良漫画だと思い込んでいて、敬遠していた作品でした。
なので、連載が終ってしばらくしてから、友人に勧められ、全巻を一気読みしました。
いやぁ衝撃的でしたね。
全24巻があっという間でした。
今でも読み返すたびにのめり込んでしまいます。


さて、『ROOKIES勝利学』です。
まえがきを見ると、

 『ROOKIES』という作品のファンに向け、この漫画をより深く楽しむために、作品の魅力を解剖することを主眼としている。

とあるのですが、これには「う~ん」と首を傾げざるをえません。

どちらかといえば、『ROOKIES』を題材に吉野先生の経験や考え方を述べることが主題になっている印象を受けるんですよね。
おっしゃっている内容は良く分かりますし、感銘も受けるんですが、『ROOKIES』目当てで読むべき一冊ではないのではないかと思います。
マンガショップさんから1章、2章、最終章それぞれ上中下巻、合計9冊の完全版が発売になっていたのを今回、入手しました。

1959年から1963年まで、舞台は現実のプロ野球。
主人公・金太郎はジャイアンツに入団しましたので、主な舞台はジャイアンツということになります。

時代的には、王貞治入団・三原魔術で大洋優勝、水原監督辞任・川上監督就任とまさにV9前夜というところです。
対戦相手に中日の板東英二さんがいたり、そんなストーリーとは関係ないちょっとしたことも楽しいですね。

ストーリーは少年向けでそこかしこに教訓が散りばめられています。
昭和30年代ということもあって古めかしいと思う部分もありますが、逆に今の漫画にもこういう教訓めいた部分はもう少しあってもいいのではないかと考えさせられました。
あまりにもエンターテイメントに過ぎるのも考えものかもしれません。

最後に気になったことをひとつ。
王さんの一本足打法といえば、一般には『フラミンゴ打法』と言われていますよね。
それが、この漫画の中では、『カカシ打法』なんて名前で呼ばれているんです。
ひょっとしたら当時はそう呼ばれていたのかもしれませんが、やっぱり『カカシ打法』はちょっと・・・
無いですよねぇ。
これは面白い作品です。

書き始めからなんだと言われそうですが。

以前、『あばれ隼』のところで書いたように、いかに現実に近付けるかというのが現在の野球漫画の主流になっていると個人的に思っています。
この作品も、その主流に沿った作品でもあるとは思います。『おおきく振りかぶって』や『ラストイニング』のように野球部の日常を描いた作品ですから。
でも、何か今までに無かったような空気感なんです。

主役は日践学院野球部の唯一の女性部員・都澤理紗。
この都澤さん、なんと最初のセリフが第5話なんです。
それも終わりから数えて3マス目。
全17話それぞれ、都澤さんのまわりの別の人物の主観で描かれているので、しょうがない部分もあるんですが、主役がこれだけ喋らないってなかなかないですよね。
それでいて、都澤さんのキャラが魅力的なのは、もう作者の力量と言ってもいいんじゃないでしょうか。
(帯を見るとこの作品がデビュー作なようですが)

とにかく、また続きが楽しみな野球漫画が1つ増えました。
いきつけの本屋へ何気なく行ったところ、特価絶版本販売をしていたので、覗いてみたところ、この本を見付けました。

平松伸二さんの作品というと、『キララ』という野球漫画もありますが、やっぱり僕らの年代は『ブラックエンジェルズ』ですよね。
というわけで、どうしても平松さんの作品を読む前は『ブラックエンジェルズ』をイメージしてしまいます。
(平松さんのファンの方はそんなことないと仰るかもしれませんが・・・)

さて、本短編ですが、全8作品のうち野球漫画は3本目の『勝負』と5本目の『ゴリくん』の2本になります。
他の作品も面白い作品はあるんですが、野球漫画目当てで買った本ですし、野球漫画に絞らせて頂きます。

まず『勝負』ですが、これはとにかく暗いですね。
起承転結それぞれに暗い要素が詰まっています。
まあ、登場人物の誰もが救われないという、読んでいて衝撃的な作品でした。

『ゴリくん』のほうは、対照的にほのぼのとしています。
絵柄もギャグチックになっていますし、ハッピーエンドの恋愛コメディーで安心して読める作品ですね。

同じ短編集の中で、全く毛色の違う2作の野球漫画を収録されているわけですが、『ブラックエンジェルズ』を読んでいた世代としては、やっぱり『勝負』のほうが平松さんっぽいなぁと思いました。
暗い気持ちになりながらも妙な安心感があるんですよね。
不思議な感情ではありますが・・・・・。